第705回
通勤地獄からの脱出

仕事の上での競争だけでなく、
日本の働く人たちは世界的に見ても
かなり過酷な環境の中で働いているように思います。

長距離通勤、朝の満員電車、昼食難民、
深夜までの残業、休日出勤。
人によって状況はそれぞれかとは思いますが、
そんな過酷な環境を少しでも緩和するために、
少しでも楽な通勤方法を探したり、
昼食の時間をずらしたり、
という人は多いのではないでしょうか。

かく言う私も、
丸紅の東京本社で働いていたときには、
「始発駅で4列目までに並べば
理論的には確実に座れる」とか、
「座れないときには入り口脇のコーナーを確保すれば、
乗降客に押し流されることがない」など、
通勤地獄を少しでも楽にするために、
いろいろと研究をしていました。

しかし、働き始めてから数年経って、
オーストラリア、インドネシア、中国、ベトナムなど
海外に出張するようになると、
現地に駐在している駐在員はみんな、
自分で車を運転するか運転手付きの車に乗るかして、
非常に楽に通勤していることを知りました。
ブリスベンの駐在員に至っては、
オフィスが入っているビルから
ブリスベン川を挟んだ対岸のマンションに住み、
朝は優雅に渡し舟に乗って出勤していました。
通勤地獄に苦しんでいるのは、
日本で働いている人だけだったのです。

そして、私が北京に駐在すると、
私の家にも毎朝、運転手付きの黒塗りのアウディが
迎えに来てくれるようになりました。
「通勤って、こんなに楽でいいんだ〜」
と感動したものです。

そんな調子で5年間も生活をしてしまうと、
「東京に帰ってから通勤地獄に耐えられるだろうか...」
と不安になると同時に、
「通勤地獄の中でいかに楽に通勤するかを研究するよりも、
いっそのこと通勤天国に住んだ方がよいのではないか」
という考えが頭をもたげてきました。

そんなこともあって私はその後、
会社を辞めて北京で起業したわけですが、
おかげさまで、今では通勤は車で10分。
邱さんが提唱する
「職住近接」のメリットを強く感じつつ、
毎日を過ごしています。


←前回記事へ

2007年4月25日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ