第742回
歩いたほうが速い

最近、北京の街の渋滞がさらにひどくなっています。
原因はマイカー通勤族の増加。
このため、朝夕の通勤の時間は、
北京の街のそこここで大渋滞が発生しています。

私も以前はタクシーで通勤していたのですが、
先日から徒歩通勤に切り替えました。
家からオフィスまで約1.5km、ゆっくり歩いて20分。
これは普段、運動をする機会が少ないので
健康を維持するため、ということもあるのですが、
渋滞がひどすぎてタクシーに乗っても歩いても
あまり時間が変わらない、ということも理由の一つです。

今や北京は、悪名高きバンコクのように、
場合によっては「歩いたほうが速い」という、
大渋滞社会になりつつあるのです。

北京でマイカー通勤が増えている最大の理由は、
郊外のマンションに住む富裕層の人たちが
増えているからであると思われます。

郊外のマンションを数百万元(数千万円)で買った人は、
ほぼ例外なくマイカーを持っています。
こうした人たちが、郊外の自宅と都心の職場の間を、
マイカーに乗って通勤するために、
朝夕の大渋滞が起こっているのです。

「郊外に買った新築マンションから、
都心の職場までマイカーで通勤する」。
これは今、北京で働く人たちの間で当面の目標とされる、
あこがれのライフスタイルです。

しかし、あこがれのマイカー通勤の実態は
そんなに優雅なものではないようです。
朝夕は渋滞して通勤にやたらと時間がかかる、
無茶苦茶な運転をする人が多いので神経がすり減る、
街中の駐車場はどこも満車で停めるところがない、
友達と食事に出かけてもお酒が飲めない、
ガソリン代はかさむ、などなど。

マイカー通勤の増加で
渋滞がますます激しくなる北京の街。
高いおカネを払って、
郊外のマンションやマイカーを買うよりも、
「都心に借りたアパートから、
近くの職場まで歩いて通勤する」
というライフスタイルのほうが、
本当は優雅で贅沢なのかもしれません。


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2007年7月20日(金)

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