第748回
不真面目な中国の不正、生真面目な日本の不正

北海道の食肉加工会社「ミートホープ」は
なぜ偽装に手を染めたのでしょうか。

「ミートホープ」の社長は偽装の理由について
「コストを下げるため」とし、
「何でも安ければ良いという消費者にも問題がある」
とまた余計なことを言って
世論の集中砲火を浴びていました。

今回の「ミートホープ」の一件に限らず、
日本で発生している不正事件はだいたい、
市場価格が下がり続け、
「もうこれ以上コスト削減できないっ!」
という状態まで追い詰められて、
会社を存続させるために行われる、
というパターンが多いように思います。

これに対して、中国では
不正事件は価格上昇局面で起こります。

先日も中国で、
豚肉の価格高騰に乗じた悪徳食肉業者が、
処理前のブタに水を注入して体重を水増ししたり、
病死したブタの肉を流通させたりしている、
というニュースがありました。

そう言われてみれば、
私が丸紅の北京支店で仕事をしていたときも、
とんでもない品質のものが出荷されたり、
日本に着いた船の船倉を開けてみたら
下半分が石だった、なんてことは、
必ず、価格上昇局面で起こっていました。

こうした悪徳業者は「会社の信用なんか知るか。
儲けられるときに儲けるだけ儲けて、
カネ持って逃げろ!」と考えているようです。

こう考えていくと、やっぱり日本人は
不正をするときでも生真面目なんだな、
と思います。


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2007年8月3日(金)

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