第763回
「中国の好景気もオリンピックまでだ!」

いろいろと心配な北京でのオリンピック開催ですが、
逆に、オリンピック開催後の中国経済については、
私は全く心配していません。
なぜなら、今の中国の景気の良さは、
オリンピックが原因ではないからです。

日本には「中国の好景気はオリンピック、万博までだ!」
というようなことをしたり顔で話している人がよくいますが、
そういう人は「中国に来たことがないのではないか?」
と疑いたくなってしまいます。

北京に住んでいる私の感覚から言えば、
北京の経済はオリンピックとは
ほとんど関係なく発展しています。

オリンピック関連施設や交通インフラなどの
公共工事もあるにはありますが、
古い建物を片っ端から取り壊して、
ものすごい勢いで建設されている
民間のオフィスビルや高級マンションの数と比べたら、
ほんの一部でしかありません。

オリンピック開催地である北京がこんな感じですので、
オリンピックが開催されない
中国の他の都市の経済に至っては、
オリンピックとは全く関係がない、
と言っても過言ではありません。

日本では1964年に
東京オリンピックが開催されるに当たって、
国家予算から1兆円が支出され、
国立競技場、日本武道館などの競技施設や、
東海道新幹線や首都高速道路などの
交通インフラの建設が行われました。

こうしたことで建設需要が高まったり、
オリンピックを家で観るために
テレビを買う人が増えたりして、
オリンピック景気が到来しました。

しかし、オリンピック終了後は、
そうした需要が一気になくなり、
山陽特殊鋼、山一証券の経営破綻に代表される、
いわゆる40年不況に陥ってしまいます。

「中国の好景気もオリンピックまでだ!」と言っている人は、
中国も日本が通ってきた道と同じ道をたどるはずだ、
ということでそう言っているのだと思いますが、
民間の投資が原動力となっている今の中国経済が、
北京オリンピックの後に
日本の40年不況のような不況に陥るとは、
どうしても思えません。

北京オリンピックが終わった後に逃げていくのは、
「中国の好景気もオリンピックまでだ!」
という話を聞いて腰が引けている日本人の、
臆病な投機マネーだけなのではないでしょうか。


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2007年9月7日(金)

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