第769回
「張偉」と「張@」の間

日本で多い苗字トップ3は、
「佐藤さん」、「鈴木さん」、「高橋さん」だそうです。
確かに、この3つの苗字の人は、
知り合いの中に必ずいそうですが、
中国の苗字の集中度は日本の比ではありません。

中国公安部治安管理局の発表によれば、
中国で多い苗字トップ3は、「王さん」(9,300万人)、
「李さん」(9,200万人)、「張さん」(8,800万人)で、
この3つの苗字の人を合わせると
2億7,300万人にも上るのだそうです。
中国の人口を13億人とすると、約20%、
5人に1人がこの3つの苗字のどれか、
ということになります。

この3つの苗字の他にも、2,000万人を超える苗字は
「劉さん」、「陳さん」、「楊さん」、「黄さん」、
「趙さん」、「呉さん」、「周さん」などがあり、
上位100位までの苗字で
総人口の約85%を占めるのだそうです。

となると、人の多いところで
「王さん!」「李さん!」などと呼びかけても、
たくさんの人が振り返ってしまいますので、
中国では会社でもプライベートでも、
人の名前を呼ぶときには
フルネームで呼ぶことになっています。

しかし、名前を付ける親の思いはどこの家庭でも同じであり、
名前に使われる漢字も自ずと限られてくるため、
中国には同姓同名の人が非常に多いです。
中国公安部の統計によれば、
中国で1番多い姓名「張偉(じゃんうぇい)」は30万人、
2番目の「王偉(わんうぇい)」も28万人いるそうです。

こうした没個性な状況に嫌気がさしたのか、
最近は、自分の子どもの名前に
「@」や「一A」など記号やローマ字を使ったり、
「奥斯鋭那王(あおするいなわん)」など
欧米人の名前を音訳したような名前を付ける親が
出てきているようです。

日本でも以前、自分の子どもに
「悪魔」という名前を付けようとして、
役所に断られていた親がいましたが、
中国の親の発想は、
もっとぶっ飛んでしまっている感じがします。

中国に30万人もいる「張偉」と
1人しかいない「張@」。
この両者の間にも、個性的で、なお且つ、
親の思いが子どもに伝わるいい名前は
たくさんあると思うのですが...。


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2007年9月21日(金)

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