第770回
危うい中国投資信託ブーム

今中国では、投資信託がものすごいブームです。

2007年6月末時点での中国の投資信託契約件数は
4,130万件に上り、わずか半年の間に
約4倍になったのだそうです。

この原因は、投資信託の好調なパフォーマンスにあります。
中国には56社の投資信託会社があるそうなのですが、
これらの会社の2007年上半期の運用実績は、
プラス4,900億元(7兆8,400億円、含み益含む)、
前年同期の4.7倍に拡大しました。

こうした好調なパフォーマンスで
一儲けした親戚や友人の話を聞いた人が、
タンス預金を引っ張り出してきたり、
定期預金を解約したりして作ったお金で
投資信託を買ったため、
これだけのブームになったようです。

また、一時期は直接株式を買う人が多かったのですが、
今になって株式よりも
投資信託を買う人が増えている理由は、
単独銘柄の株式を買うよりも
リスクを分散することができるため、
株式や経済の知識が乏しい人でも
大損をする可能性が低いからです。

基本的には右肩上がりで上昇している中国株ですが、
今年に入ってから何度か大暴落を経験し、
北京や上海の証券会社で
呆然と立ち尽くす個人投資家の姿は
日本のテレビでも放映されました。

しかし、中国の投資信託はそのほとんどが
株式と債券の組み合わせになっており、
安全を重視する人はリスクが比較的低い債券に
より多く投資する商品を選ぶことができますので、
株式が大暴落しても損失を限定することができます。

株式よりリスクが低いことで人気の投資信託ですが、
リスクが「低い」というだけで
「ゼロ」なわけではありません。

今は株式市場が右肩上がりですので、
投資信託のパフォーマンスも好調ですが、
株が下がり始めて元本を割るようなことになると、
投資信託を定期預金の代わりぐらいに考えて、
全財産を投じてしまっているような人は、
生活が破綻する可能性もあります。

投資信託は株式投資より安全なイメージがあるだけに、
中国の人たちの1人当たりの投資金額も
かなり大きくなっているようですが、
株が下がったときに大騒ぎにならないように、
販売窓口になっている銀行や中国政府は、
今から投資信託のリスクについての啓蒙活動を
行う必要があるように思います。


←前回記事へ

2007年9月24日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ