第778回
ニセ留学生不正入学事件

企業が採用に当たって、
出身校に在籍確認をするようになると、
ニセの卒業証書では
すぐに化けの皮が剥がれてしまいますので、
有名大学の卒業証書を手に入れるためには、
やはりなんとかその大学に入学しなければなりません。

しかし、有名大学の難しい入学試験に
合格するのは至難の業です。
そこで目を付けられたのが、入学試験がない、
または比較的簡単な有名大学の留学生枠でした。

先日、上海交通大学と上海大学で、
100%中国人であるにも関わらず、
外国人留学生として不正入学をしていた47人が摘発され、
全員が入学資格を取り消される、
という事件が起きました。

彼らは斡旋業者にマレーシアやラオスなどの
パスポートを偽造してもらい、
外国人になりすましてこれらの有名大学に
留学生として入学しました。

斡旋業者は彼らに
「中国の身分証は絶対に使うな」とか、
「同級生との接触は避けろ」などと
細かい指示を出していたのですが、
外国人なのに中国の高校を卒業していたり、
両親が中国国内で働いている学生が多いことを
不審に思った大学側が調査を行い、
今回、不正入学が発覚したのだそうです。

この斡旋業者は摘発されるまでの1年余りで
628万元(約1億円)を荒稼ぎしていたとのことですので、
1人当たりの手数料は13万元(210万円)にもなります。
逆に言えば、有名大学の卒業証書は
それ以上の価値がある、ということです。

現在、中国の大都市の大卒初任給は
平均で2,000-2,500元(32,000-40,000円)。
しかし、有名大学卒の幹部候補生ともなれば、
月給1万元(16万円)、2万元(32万円)も
夢ではありません。
そう考えると、13万元の手数料は、
すぐに回収できる割の良い投資、
ということなのでしょう。

それにしても、不正入学したニセ留学生たち。
首尾よく有名大学を卒業して、
その卒業証書で就職できたとしても、
会社の中では一生、
マレーシア人やラオス人のふりをして
生きていかなければならない、
ということは考えていたのでしょうか。


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2007年10月12日(金)

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