第779回
「政治とカネ」の問題

閣僚の不正経理処理が次々と明るみに出た、
いわゆる「政治とカネ」の問題で、
国民の支持を失い自滅した安倍政権。

ルールを破って村八分になった人間を、
みんなでよってたかって撲殺するという
日本古来のムラ社会の構図は、
日本という大きなムラ社会においても機能している、
ということを、今回の件で再認識しました。

もちろん、汚職や不正な経理処理は
許されるものではありませんが、
誤解を恐れず言えば、日本というムラ社会は、
そうした汚職や不正な経理処理で被った損失よりも
はるかに大きな国益を日本国にもたらしてくれる有為な人材を、
たくさん撲殺してきたのではないか、と思います。

政治家に清貧を求めるから、
ウラでカネをちょろまかしたりするわけで、
大きな国益という付加価値を生み出せる政治家に対しては、
それなりの大きな報酬を
国庫からオモテのカネとして支出することにすれば、
小金をちょろまかして自分の地位を
危うくする政治家もいなくなるでしょうし、
政治家が国家の中でも最も優秀な人たちが目指す
職業になるのでないか、と個人的には思います。

世界各国の汚職の実態を監視する非政府組織(NGO)・
トランスペアレンシー・インターナショナルの調査によれば、
日本の官僚や政治家の汚職に対する「清潔度」は、
調査対象180カ国中17位だったそうです。
ちなみに1位はデンマーク、フィンランド、
ニュージーランドの3カ国、
アメリカは20位、ロシアは143位、
最下位はミャンマーとソマリアなのだそうです。

役人の汚職が原因で国内各地で暴動が頻発し、
それに慌てた政府が汚職をした役人を
次々と死刑にしている中国は72位。

半分より随分上ですのでちょっと意外だったのですが、
中国共産党が内部浄化のために行っている、
徹底的な汚職摘発キャンペーンが評価されたのかもしれません。

しかし、今死刑になっている共産党の幹部は、
みんな権力抗争に負けた人たちで、
権力の座にある人たちの汚職はバレない、
というのは中国人ならだれでも知っていることです。

死刑判決が予想されている上海市の陳良宇前党委書記や、
秘書や家族に汚職の疑惑がかかっている故黄菊副首相などは
みんな、胡錦涛率いる共青団閥との政争に敗れた、
江沢民率いる上海閥のメンバー。
共青団閥の人が汚職で逮捕された、
などという話は聞いたことがありません。

トランスペアレンシー・インターナショナルが
もっと本気で調べたら、中国の「清潔度」ランクは、
かなり下まで下がるのではないでしょうか。


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2007年10月15日(月)

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