第800回
「中国人にマネのできないことはなにか?」

私が北京で働きながら日夜考えている
「中国人にマネのできないことはなにか?」
という課題は、本当は全ての日本人が
考えなくてはいけないことだと思います。

私はたまたま中国という前線にいて
「中国人と同じことをしていたら、
果てしない価格競争に巻き込まれる」
という厳しい状況の中で仕事をしていますし、
中国の産業がどんどんハイテク化していく様子や、
中国人経営のレストランのサービスが
日に日に良くなっていくのを見ていますので、
「このままではグローバルマーケットにおいて
日本人のアドバンテージがなくなってしまうではないか」
という非常に激しい危機感を抱いています。

しかし、日本にいると
そうした世界の動きが見えにくくなるらしく、
日本のニュースなどを見ていても、
ぬるま湯の中で内輪もめをしているような話が
多いように感じます。

日本は「抜群に品質の良いモノやサービス」の輸出で、
世界第2位の経済大国にまで上り詰めました。
一方の中国は「世界の工場」として
「品質はそこそこだが圧倒的に安いモノやサービス」
の輸出を得意としていました。
従来は両者がターゲットとするマーケットが違っていたため、
正面からぶつかることはなかったのです。

しかし、今後、
付加価値を付けて高く売ることに目覚めた中国は、
日本が得意としてきた
「抜群に品質の良いモノやサービス」のマーケットを
どんどん侵食していくことが予想されます。

現に中国政府は国策として、
労働集約的な下請け国家から脱却し、
高付加価値のモノやサービスを
提供できる国家に生まれ変わるために、
ハイテク企業に税制面での大幅な優遇を与えています。

「抜群に品質の良いモノやサービス」部門で、
中国と俗に言う「キャラがかぶった」場合、
日本はグローバルマーケットで競争力を保って、
今の豊かな状態を維持し、
貧乏人と怠け者を養う福祉国家として、
やっていくことができるのでしょうか。

「中国人にマネのできないことはなにか?」。
この課題は、まだ余裕がある今のうちから、
全ての日本人が真剣に考え始めるべき
ことなのではないか、と私は思います。


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2007年12月3日(月)

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