第804回
結果責任型社会とベストエフォート型社会

日本人サラリーマンは、
仕事の上でプレッシャーがかかると、
胃が痛くなるほど悩むのに、
どうして中国人サラリーマンは、非常事態に陥っても、
へらへらと笑っていられるのか。

私はその後も中国で
くぐりたくもない修羅場を何度もくぐらされ、
だんだんとその違いがわかってきました。
日本は結果責任型社会であるのに対して、
中国はベストエフォート型社会なのです。

日本人サラリーマンは全ての仕事の結果に対して、
責任を持つことを求められています。
このため、自分のミスでなくても、
結果が出なければ責任を取らされます。
これに対して、中国人サラリーマンはベストを尽くせば、
後は自分の力ではどうすることもできない不可抗力である、
ということで、没弁法で済んでしまうのです。

船が港に到着しているのに、
石炭がまだ到着していなかった時も、
多分、こうした理由で、私が
「結果的に大きな損失が発生している。これは私の責任だ」
と考えて焦りまくっていたのに対し、
石炭輸出会社の担当者は
「私はベストを尽くした。
しかし、列車が遅れた。列車が遅れるのは
私の力ではコントロールできない不可抗力だ。
よって、私に責任はない」
ということで、へらへらと笑っていられたのではないかと思います。

結果責任型の働き方をする日本人サラリーマンが、
日本経済を効率化し、急速な経済成長を果たす
原動力となったのはまぎれもない事実です。
これは日本人が誇ることのできる美徳でもあります。

しかし、この結果責任型社会が、
その社会の中で働く日本人サラリーマンの心に
働いても働いても重くのしかかる圧迫感を与えている、
というのもまた事実なのではないでしょうか。

日本人サラリーマンに、
非常事態に陥ってもへらへらと笑っている
中国人サラリーマンのようになってほしいとは思いませんが、
日本の社会にもうちょっと中国式の
ベストエフォート型社会の要素を取り入れることができたら、
プレッシャーで胃が痛くなる人も減って、
もっと多くの人が楽しくお仕事ができるのではないか、
と私は思うのです。


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2007年12月12日(水)

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