第834回
「このままいくと、オレの人生はどうなるのか?」

前回、20代後半から30代前半という時期は、
自分の将来を考えて、必要な人は
人生をリセットする時期なのかもしれません、
というお話しをしました。

しかし、私の20代後半は
丸紅の東京本社で残業漬けの毎日、
30代前半は北京でいい加減な中国企業に
翻弄され続ける毎日でしたので、
何しろ目の前の仕事を片付けるのがやっとで、
恥ずかしながら35歳で中国起業する直前まで、
自分の将来を時間をかけて
ゆっくりと考えたことがありませんでした。

そして、北京駐在も5年が過ぎ、
そろそろ帰国辞令が出る頃か、という段になって、
「このままいくと、オレの人生はどうなるのか?」
と考え始めたわけです。

時は2001年。
日本には21世紀の始めの年という華々しさは全くなく、
日本経済は平成不況の真っ只中、
日本企業は賃金のリストラ策として
賃金体系を年功序列から成果主義に移行しつつありました。

成果主義という制度は、客観的に見れば、
「出した成果に応じて賃金が支払われる」
という非常に合理的な制度であり
反論の余地は全くないのですが、
そのシステムの中で働く立場に立って考えてみると、
40代、50代になって気力や体力が落ちても、
がんばって若手以上の成果を出さないと、
若手以上の給料はもらえない、という恐ろしい制度です。

年功序列の時代は、歳をとって気力や体力が落ちても、
部下の若手を働かせて、自分はハンコを押していれば
給料が上がっていきましたが、
成果主義では自分自身がずっとがんばり続けなければ
給料は上がりません。

35歳の今は気力も体力も充実し、
また、ある程度の経験も積み、
自信満々で仕事をしていますが、
果たして日本に帰ってから定年退職までの25年間、
衰えゆく気力と体力を奮い立たせて成果を出し続け、
給料を上げ続けることができるのか。

「あと25年間、がんばり続けなければならない」と考えると、
それだけで憂鬱な気分になってしまうのでした。


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2008年2月18日(月)

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