第849回
国有企業根性が染み付いた人たち

先日、中国の中華全国工商業連合会が発表した
民営経済に関する分析報告によれば、
昨年9月末時点で、中国の従業員8人以上の私営企業は
前年比8.2%増の538万社、
従業員数は前年比9.8%増の7,058万人に達したそうです。

これに加え、従業員数が8人に満たない私営企業、
未登録の個人企業などを含めると、
私営企業の就業者は2億人に達すると見られています。
国有企業が事業の集約、
従業員のリストラなどの改革を進める一方で、
私営企業は国有企業を解雇された人たちの
重要な受け皿になっているようです。

ただ、みなさんが中国で起業をされる場合は、
決して国有企業を解雇された人たちの
受け皿になってはいけません。
なぜなら、国有企業に勤めていた人たちの中には、
ろくに働かないくせに、何でも会社に払ってもらおうとする
国有企業根性が染み付いてしまっている人が多いからです。

当社の引越子会社「外運華通」も、
元々は北京外運(シノトランス)という
国有企業の一部門でしたので、
国有企業根性が染み付いている社員が多く、
2005年に経営権を取得した当初は大変苦労しました。

当社としては、経営権取得後、
業務内容を見直したり、新しい顧客を開拓したりして
早急に会社を改革したかったのですが、
社員たちは
「なにしろ今までやってきたやり方は変えたくない」とか、
「わたしたちはもう十分よくやっている」などという理由で、
変化に対して執拗に抵抗しました。

そのくせ、彼らは給料や福利だけは一人前に要求しますので、
売上が上がらないのに、経費だけが膨れ上がる、
という最悪の状態になっていました。
これでは、シノトランスの一部門だった時に、
赤字を垂れ流していたのも無理はありません。

その後、当社のパートナーの劉さんが
毎日のように「外運華通」に通い、
彼らの「思想改革」を行ってくれた結果、
最近ではようやく「自分の給料は自分で稼ぐ」という、
民間企業なら当たり前の考え方が浸透しつつあります。

当社は会社の経営戦略上、
他に補って余りあるメリットがあると判断して
国有企業の一部門の経営権を取得しましたので、
こうした苦労をするのはある程度仕方がないことなのですが、
みなさんが中国で起業をして人を雇う時には、
国有企業根性が染み付いてしまった人を雇うのは、
極力避けた方がよいのではないかと思います。


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2008年3月24日(月)

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