第855回
時間厳守の付加価値

当社の引越サービスは
時間厳守も一つの「売り」にしています。

引越作業員はお客様と約束した時間の
30分前には必ず現場に到着、
トラックから梱包資材を運び出し、
15分前にはいつでも梱包作業を開始できる体制を整えます。

このルールを守っていれば、
渋滞など予想外の事態が発生しても
約束の時間に遅れることはほとんどありませんし、
万一、事故渋滞でトラックが全く動けなくなってしまった、とか、
トラックが故障してしまった、
という緊急事態が発生した場合には、
必ず約束の時間より前にお客様にお電話を差し上げ、
どの程度遅れそうか連絡することにしています。

日本に住んでいる方からは
「そんな当たり前のこと、自慢するな!」
とお叱りを受けそうですが、
時間厳守が当たり前ではないここ中国では、
こんな日本では当たり前のことでさえも
守られていないのが実態なのです。

中国の地元の引越会社は、全く時間を守りません。
例えば、朝の9時に引越の予約をしても、
時間通りに来ることはまずありません。
何時間待っても連絡が来ないので、
こちらから引越会社に電話をしても
「他の現場に行ってるんじゃないですか。
もうちょっと待ってみてください」
というなんとも無責任な回答しかもらえません。

結局、一日中まちぼうけを食わされた挙句、
夕方になって引越会社から
「今日は忙しいんで行けません。明日にしてください」
なんていう電話がかかってくることさえあります。
もう「時間を守らない」とか
そういうレベルの話ではありません。

日本でこんなことをしたら、
その引越会社はまたたく間に消費者の信用を失って、
潰れてしまうと思われますが、
中国では全ての引越会社がそんな感じですので、
消費者もある程度まちぼうけを食わされることを
覚悟しています。
「時間にルーズな引越会社」と
「そのルーズさを気にしない消費者」の間に
微妙な折り合いがついている、という状態です。

当社の引越サービスは時間厳守を堅持するために、
時間に余裕を持って予定を入れますので、
1つの引越チームが1日に多くても2件の引越しかできません。
一方の地元の引越会社は1日に5件も6件もこなすようです。
このため、地元引越会社のコストは非常に安くなりますが、
その代わり、時間通りに到着することは
ほとんど不可能となるようです。

今のところ、中国で時間厳守というサービスに
付加価値を感じてもらえる消費者は少数派です。
しかし、今後、中国の人たちがどんどん忙しくなるに従って、
当社の時間厳守のサービスが
多くの人に歓迎される日が来るのではないかと思っています。


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2008年4月7日(月)

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