第856回
中国人が時間にルーズなワケ

1日中まちぼうけを食わせて、
挙句の果てに「今日は行けません」
という中国の引越会社は論外ですが、
一般の中国の人たちも日本人と比べると、
時間の観念はかなりルーズです。

これは中国では昔からそうなのですが、
高度経済成長で時間の進み方が
昔に比べてかなり早くなっている現在においても、
そのルーズさはあまり変わりません。

もちろん日本人にも時間にルーズな人はいますが、
ほとんどの人は子供の頃から
約束の時間を守ることの大切さを
両親や学校の先生から教わっています。
日本では、遅刻をする人は時間だけでなく
全ての面においてルーズである、とみなされ、
社会に出てから信用されないのです。

一方の中国では、どうもそういう教育はしないようで、
家から30分かかるところで3時に待ち合わせならば、
ほとんどの人はきっかり2時半に家を出ます。
日本人の場合、その日の天気や渋滞の状況などを考えて、
3時には必ず到着できるように、
2時20分とか、2時10分に家を出たりしますが、
中国の人たちは「渋滞がなければ30分で到着できる。
渋滞は自分ではコントロールのできないことだから不可抗力だ。
よって、遅刻しても自分に過失はない」と考えるようです。

中国人の人と待ち合わせをすると、
ほとんどの人が遅刻してきますが、
みなさんこうした考え方ですので、
よっぽど事が順調に運ばない限り、
遅刻するのはある意味当然の結果なのです。

ですので、そうした人と待ち合わせをする場合は、
外での待ち合わせは避け、カフェやレストランなど、
相手が30分、1時間遅れてきても、
座ってコーヒーを飲んだり、本を読んだりできるところで
待ち合わせることをおススメします。

日本人の時間厳守に対する考え方は、
中国の多くの人たちには
「見習うべきこと」と捉えてもらっているようですが、
一部の人たちの目には
「時間厳守に固執するあまり、
物事の本質を見失っている」と映るようです。

私も以前当社の社員に
「柳田さんは私が5分遅刻しただけでも怒りますが、
私が会社にもたらしている利益は
その5分を補って余りあるのではありませんか」
というようなことを言われたことがあります。
その時は
「自分が遅刻したのを棚に上げて、とんでもないヤツだ!」
と思ったのですが、
今から振り返って考えてみると
「それも一理あるかもしれない」と思います。
ホワイトカラーをブルーカラーと同じように
時間で管理しようすること自体が、
合理的ではないんですな。

どちらにしても、時間厳守が当たり前の国から来た私が、
まちぼうけを食わされてイライラさせられる日々は
まだまだ続きそうです。


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2008年4月9日(水)

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