第863回
中国マーケットと「ブルーオーシャン戦略」

中国はマクロの観点から見た実体経済も堅調ですが、
ミクロの観点から見たビジネス環境も
非常に良好な状態が続いています。

私が中国起業をおススメしている理由は、
中国が高度経済成長で好景気が続いているため、
ということよりもむしろ、
中国はマーケットが未成熟であるためです。
マーケットが未成熟な今の中国は、
ちょっとした知恵と工夫によって
いくらでも新しいマーケットを創出できる
チャンスにあふれています。

私は以前から
「日本にはあるが中国にはないモノやサービス、
という観点で北京の街を見れば、
1週間で100や200のビジネスアイデアを思いつくのは
造作も無いことである」と申し上げてきましたが、
その状況は今でも変わりません。

日本でビジネスとして成り立ったモノやサービスを、
そのまま中国に持ってきて、
中国の実情に合うようにちょっと改良すれば、
誰も競争相手のいない新たなマーケットを創出できる、
というチャンスはまだまだたくさんあるように思います。

当社も「日本の引越らくらくパックを中国で普及させる」
ということを目標に、日夜、
引越サービスのレベルアップに励んでいますが、
今のところ競争相手は全く出てきていません。

北京には何百社もの引越会社があると思われますが、
彼らはみんな、引越業は「サービス業」ではなく
「運送業」だと思っていますので、
「なにしろこの荷物をここからここまで運べばいいんだろ!」
という態度で引越の仕事をしています。
彼らからは「荷物の梱包と荷解きもやってさしあげて、
お客さんに楽をしてもらおう」という発想は
生まれないのです。

数年前、経営学の世界で
「ブルーオーシャン戦略」という言葉が流行りました。
血みどろの戦いが繰り広げられる既存のマーケット、
レッドオーシャン(赤い海)から抜け出し、
バリューイノベーション(価値改革)により
競争相手のいない未開拓のマーケット、
ブルーオーシャン(青い海)を創造することが、
企業が繁栄を続ける唯一の方法である、という理論です。

しかし、これは日本のようなマーケットが成熟しきって、
企業間の激しい競争が繰り広げられている国の人たちには
役に立つ戦略ですが、中国では役に立たないかもしれません。
なぜなら、中国のような未成熟なマーケットでは、
バリューイノベーションなどという
大それたことをしなくても、
至るところにまだ誰も泳いでいない
ブルーオーシャンが広がっているからです。


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2008年4月25日(金)

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