第885回
「雪中送炭」の炭の大きさ

発生から1ヶ月が経ち、
四川大地震の焦点は被災者の救済と
被災地の復興に移ってきています。

救済と復興には多額の資金が必要となりますが、
現在、国内外の多くの企業や個人が、
自分たちのできる範囲で義援金を被災地に送っています。

中国には「雪中送炭(しゅえちょんそんたん)」
という言葉があります。
大雪が降って凍えている人たちに暖をとるための炭を送る、
つまり、人が最も困っている時に援助の手を差し伸べる、
という意味なのですが、
今回はその送った炭の大きさで
株を上げた人と株を下げた人が明確に分かれました。

最も株を上げたのは、フランス系スーパーの
家楽福(じゃーるぁふー、カルフール)です。

3月に発生したチベット暴動に対する
中国政府の対応に抗議して、
フランスのサルコジ大統領が
北京オリンピック開会式への不参加を示唆したり、
パリでの聖火リレーが妨害されたことなどを受け、
家楽福は中国の人たちから
不買運動のターゲットにされていました。

それが今回、地震の被災者に対して、
欧米系企業ではトップ、全体でも第13位の金額となる、
合計2300万元(3億4500万円)の義援金を送ったことにより、
中国国民の家楽福とフランス人に対する評価は一転、
インターネット上でも
「フランス人に感謝して、家楽福に買い物に行こう!」
という書き込みが1日で何千本も殺到しました。

なんともあからさまなやり方ですが、
家楽福にとっては不買運動で落ち込んでいた業績を回復する
一発逆転、千載一遇のチャンスに見えたのでしょう。

また、今回の「雪中送炭」では
日本企業も大きく株を上げました。

地震が発生してすぐに、
中国に進出している多くの日本企業が、
続々と数百万元〜数千万元(数千万円〜数億円)の
義援金拠出を決定、
日本政府の10億円の拠出、
救援隊、医療チーム派遣などとともに、
中国国民に高く評価されているようです。

義援金は基本的には気持ちの問題ですので、
その金額の多寡で企業を評価することについては、
若干の違和感も感じますが、
義援金がたくさん集まればその分、
多くの被災者が救われ、
被災地の復興も早くなります。

そう言った意味では、こうした義援金の競争も
悪いことではないのではないか、と私は思います。


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2008年6月16日(月)

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