第909回
中国の新しいオピニオンリーダー「憤青」

先日、中国の新聞・北京青年報が2874人を対象に
インターネット利用に関するアンケートを行いました。

その結果によれば、71.9%の人が
「インターネットは民衆の声を
政治に反映させる中国式の手段」と答え、
67.1%の人が
「インターネットは政府が民衆の生活を理解し、
民意を把握する重要なルートである」と回答しました。

第887回 「網民」が形成する中国の世論
でもお話ししましたが、最近、
中国ではインターネット上の書き込みがきっかけとなって
社会が動くことが多くなっています。

「網民(わんみん、インターネット利用者)」の
批判の矛先は、四川大地震で義援金をケチった企業や、
地震はチベット弾圧に対するカルマ(報い)だ、
と発言したハリウッド女優にも向けられますが、
当然、中国政府にも向けられています。

先日、貴州省で起きた地元公安当局による
少女強姦殺人隠蔽疑惑も、
インターネット上での疑惑の追求から
3万人の暴動に発展しました。

こうした強い憂国の心を持ち、
正義に反する行動をする人たちを
インターネット上で容赦なく批判する若者たちは
「憤青(ふぇんちん、怒れる青年)」と呼ばれ、
中国の新しいオピニオンリーダーになりつつあります。

従来、中国政府は
インターネット上の反体制的な書き込みに対して、
一貫して規制、削除の方針を採ってきました。
しかし、もはや「憤青」に先導された2億3,000万人と言われる
「網民」を押さえつけることは不可能と判断、
「網民」を味方につける方向に方針を180度転換しました。

中国の新しいオピニオンリーダー「憤青」の意見は、
中国政府の方針を変えさせる力を
持つまでになってきているのです。


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2008年8月11日(月)

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