第916回
北京の「億ション」

北京で一番値段の高いマンションはどこでしょうか。

それは、CBD(Central Business District)の中心、
国際貿易センターの南側にある
銀泰中心(いんたいちょんしん)です。

同マンションの今年4-6月の平均販売価格は
1u当たり9万6,000元(144万円)でしたから、
100uのマンションなら1億4,400万円。
日本では既に死語になってしまいましたが、
いわゆる「億ション」です。

このマンションは2007年1-3月に
平均販売価格1u当たり4万元(60万円)強で、
既に北京で一番値段の高いマンションになっていたのですが、
その後1年ちょっとで価格は急上昇、
今では1u当たり10万元(150万円)を超え、
当時の2.5倍以上になっているようです。

この高値にも関わらず銀泰中心マンションの売れ行きは絶好調で、
予約販売260戸のうち既に250戸が成約済みとのことです。
「億ション」の売れ行きが絶好調...。
日本のバブル経済の時代が懐かしいですなぁ。

一方で普通のサラリーマンが買うマンションは、
値下がりに転じる可能性もあるようです。
北京市で今年1-6月に売り出された土地58区画の平均価格は
1u当たり3,500元(5万2,500円)と
前年同期比で7%下がりました。
土地の価格の下落はここ3年で初めて、とのことです。

しかし「これでようやく北京の不動産バブルは沈静化するのか」
と思うのは早計です。
なぜなら、現在、北京のマンションは
どんどん土地がまだ安い郊外に展開しているからです。
土地が安い郊外のマンション開発が増えれば、
平均価格は当然下がります。

先日、私が広告で見たマンションは住所が通州区燕郊、
六環路の更に外側、河北省との省境に近いところです。
当社の倉庫がある五環路の外側でさえ
とんでもない田舎なのですが、
六環路の外側と言ったら周りには
畑と村落しかないのではないでしょうか。

畑の中にポツンと建つ新築マンション。
値段は安いかもしれませんが、
通勤も買い物もマイカーで1時間以上かけて
街まで出なければなりませんので、
実際の生活はかなり不便なのではないかと思います。

北京の一等地のマンションは
今後も値上がりが続くことが予想されますが、
一等地のマンションを買えない普通のサラリーマンは、
どんどん郊外に追いやられています。

北京のサラリーマンが日本のサラリーマンのように、
通勤往復3時間生活を余儀なくされるようになるのも
もう時間の問題なのです。


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2008年8月27日(水)

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