第917回
中国起業の成功を阻む異常に高い北京の家賃

中国株はボロボロに下がっていますが、
中国企業の業績は極めて好調です。

上場企業の業績予想を見ていても、
売上高前年比30%増、40%増は当たり前ですし、
私の友人が社長をしている中国企業の中には、
毎年100%ずつ売上が伸びている会社もあります。

しかし、そんな好景気の最中でも潰れる会社は潰れるようです。
私の家の近所や事務所の周りでも、
開店したと思ったら半年ももたずに潰れてしまう
飲食店や小売店がたくさんあります。

なぜ、こんなに景気が良いのに潰れてしまうのか。
商品が悪い、経営者が悪いなど、
様々な理由があると思いますが、
北京は家賃が異常に高いというのも、
飲食店や小売店など小規模企業の損益分岐点を上げ、
延いては倒産に追い込む
大きな要因の一つなのではないかと思います。

北京の不動産価格は一時期のバブル状態の時と比べれば
落ち着いてきたとはいうものの高止まりしており、
サラリーマンの収入や一般消費財の物価などと比べると
異常に高い状態が続いています。

このため、北京の市街地でお店を出そうとすると、
30uほどのお店でも1万元(15万円)以上の
家賃を取られてしまいます。
1万元のお店で洋服や雑貨を売ろうとすれば、
1点50元(750円)の利益があったとしても、
月200点、1日平均7点を売り上げて
ようやく家賃が払えるような状態です。
これではせっかく起業して
老板(らおばん、オーナー社長)になったのに、
大家さんの為に働いているようなものです。

飲食店も例外ではありません。
一説によれば売上に占める経費の割合は、
東京では食材3割、人件費3割、家賃1割ですが、
北京では人件費と家賃の割合が逆転し、
食材3割、人件費1割、家賃3割となるそうです。
せっかく人件費が日本より安いのに、
家賃の高さで帳消しになってしまうんですね。

こうした北京の家賃の高さをうまくしのいで
利益をあげるためには、飲食店ならばデリバリー、
小売店ならばネット販売などに力を入れて、
店舗を使わない売上の比率を増やす工夫が必要になりそうです。

しかし、一番賢い選択は、
飲食店や小売店をやって
苦労しながら高い家賃をしのぐことよりも、
黙っていても毎月高い家賃が入ってくる
大家さんの側に回ることなのかもしれません。


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2008年8月29日(金)

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