第927回
海外に農場を買って食料自給率を上げよう!

鎖国的と言えば日本の食料行政も
発想が非常に鎖国的だと思います。

1965年には73%だった日本の食料自給率は
2007年には40%まで落ち込んでいます。
このため、日本では食料自給率を上げるため
補助金や優遇税制で農業を振興していこうとしています。

しかし、農業はいくら生産性を向上させようとしても
限度があります。
今後、少子高齢化社会を迎えるに当たっては、
働き手となる日本国民にはもっと付加価値の高い仕事をして、
大量の高齢者を養ってもらわなければなりません。

将来、世界中の国を敵に回して一戦交えるつもりなら、
日本国内の食料自給率を高めておかなければなりませんが、
そのつもりがないのであれば
日本の農家に出している年間5兆円の補助金で
コストの安い世界各地の農業国に国策で農場を買い、
日本国の食料を確保すべきなのではないかと私は思います。

私がこうした発想に至ったのは、
中国政府の資源政策を間近に見ているためです。

中国政府は現在、傘下の製鉄会社や資源貿易会社を通じて、
世界中で中国には足りない資源の権益取得に走っています。
これは資源メジャーによる世界的な資源の寡占化が進む中で、
資源不足による経済の停滞により
中国国内が混乱に陥ることを防ぐためです。

資源は自国で不足しているものについては、
増やしようがありませんので、
海外の資源権益を買うことによって、
資源自給率を上げているのです。

一方の食料に関しては、
中国は自給率95%でほぼ自給ができており、
今後もこの割合を保つという政策を掲げていますので、
海外に農場を持つには至っていません。
しかし今後、中国の食料消費量が上がり
自給率が下がってくれば、
中国政府は必ず資源と同じ発想で自給率を上げ
カーギルやADMなど食料メジャーの
自国経済に対する影響力を低くするため、
海外の農場を買いに走るのではないかと思います。

働き手となる日本国民は
付加価値の高いモノやサービスを売って
成長する中国マーケットで稼ぐ。
日本政府はその稼いでもらったおカネで
コストの安い世界各地の農業国に農場を買い、
その「ニッポン農場」からの食料で
日本国内の高齢者を食わせていく。

荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、
少子高齢化社会を迎える日本を豊かな状態に保つためには、
鎖国的な自前主義の発想よりも
他国の力を借りたこの方法の方が
より効率的なのではないかと私は思います。


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2008年9月22日(月)

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