第943回
中国の最上位概念「国内情勢の安定」

中国政府が打ち出す政策は全て最終的には
「国内情勢の安定」を目的としています。
それは「国内情勢の安定」こそが、
大多数の国民の幸福につながるからです。

先進国では尊重すべき最上位の概念とされる
「民主主義」、「言論の自由」、「人権」なども、
中国では「国内情勢の安定」という大義には勝てません。
そうしたものを許容した結果、
国内が混乱するようなことになれば、
多くの国民を不幸のどん底に突き落とすことになるのは
火を見るよりも明らかだからです。

そうした「発展途上国」中国の
国内事情を知っているくせに、
アメリカを始めとする先進国が中国に対して
「民主主義」や「言論の自由」や「人権」の尊重を
強く要求してくるのは、
中国側から見れば中国国内の安定を崩して発展を遅らせ、
自分たちに追い付かせまいとする
先進国の嫌がらせにしか見えないのではないでしょうか。

もちろん今の中国共産党が完璧とは言いません。
「権力は腐敗しやすいものであり、
絶対的な権力は絶対的に腐敗する」
というイギリスの歴史学者・J・E・アクトンの言葉通り、
中国共産党の腐敗にはひどいものがありますし、
「為人民服務(うぇいれんみんふーうー、
人民の為に奉仕する)」という本来の立場を忘れて
エラそうにしている勘違い党員もたくさんいます。

しかし、それらを差し引いても、
中国共産党が一党独裁体制で国内情勢を安定させ、
大多数の国民が「とりあえず住むところと食べるものはある」
という状態になっているということは、
中国という国に対する非常に大きな貢献であると思います。

世界の国々はそれぞれの国の事情や発展の段階があり、
先進国が自分たちのモノサシで
「民主主義」や「言論の自由」や「人権」を押し付けても、
それがかえってその国の国民を
不幸にしてしまうこともあるのです。

では、中国はいつになったら
「民主主義」や「言論の自由」や「人権」が
尊重される国になるのでしょうか。
私個人的には今の中国共産党は、
「中国最後の王朝」になる覚悟ができているぐらい
「大人」だと思っています。

国内が安定し、経済が発展し、
国民が豊かになり、教育水準が上がり、
先進国の概念を取り入れても、
もう国内が混乱するようなことがない、
という段階になったら、
まずは中国共産党が「官製民主主義」を進め、
その後中国は徐々に国民が自ら政権を決める
真の民主主義国家に近づいていくのではないでしょうか。


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2008年10月29日(水)

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