第944回
減速する中国の経済成長

先週発表された中国の
今年7-9月の国内総生産(GDP)は
前年同期比9.0%増でした。

2007年の中国のGDP伸び率は
11.9%で過熱気味と言われていましたが、
2008年1-3月は10.6%、4-6月は10.1%、
そして7-9月は9.0%まで落ち込み、
世界的な金融危機の影響による
景気の減速が顕著になってきています。

景気減速の一番の原因は輸出の減少です。
元々、中国政府はインフレ抑制政策の一環として、
過剰流動性の元凶である輸出を減らす
政策を打ち出してきました。
そこにアメリカを始めとする主要輸出先の
金融危機による景気減速が重なり、
輸出の伸びが鈍化しています。

この輸出の不振により、紡績や玩具など
低付加価値製品を輸出する工場の撤退や倒産が相次ぎ、
そうした工場が最も多い広東省では
工場閉鎖や給与未払いに対する労働者の抗議活動が頻発、
社会の安定にも影響が出始めているようです。

輸出の伸びが鈍化する中で経済成長を維持するためには、
国内の投資と消費を伸ばさなければならないのですが、
投資については昨年来高止まりしていた不動産市場が、
ここに来て大都市を中心に
急速に冷え込んできてしまいました。

中国不動産協会がまとめた今年1-8月の分譲住宅の成約面積は、
北京で前年同期比55.5%減、上海で38.5%減となったそうです。
昨年は不動産価格が上昇を続け
「今マイホームを買わなければ、
永久にマイホームを持てなくなる」という強迫観念から、
多くの人が先を争ってマンションを買っていましたが、
最近になって不動産市場の雲行きが怪しくなると
「もうちょっと待てば、
もうちょっと値段が下がるんじゃないか」
という買い控えが起こり、
不動産市場の冷え込みに拍車をかけているようです。

輸出もダメ、投資もダメとなると、
残る頼みの綱は消費だけです。
国家発展改革委員会もこれ以上の景気の減速を食い止め、
年間9%の成長を維持するために
「景気が下振れする気配が感じられたら、
速やかに内需対策を打つ」としています。

中国では経済成長率が7%を下回ると失業問題などで
国内が混乱に陥ると言われていますので油断はできません。
しかし、こう考えていくと今回の世界的な金融危機は、
中国にとっては経済成長を輸出、投資主導から
消費主導に転換する良い機会となるのではないでしょうか。


←前回記事へ

2008年10月31日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ