第948回
中国に広がる金融危機の影響

世界的な金融危機が
中国の実体経済に影響を与え始めています。

まず自動車販売。
中国自動車工業協会の発表によれば、
中国の9月の自動車販売台数は75万1500台と
前年同月比2.74%の減となりました。
自動車販売台数が前年同月比で減少するのは、
約2年ぶりに減少に転じた8月に続いて2ヶ月連続であり、
今年上半期まで期待されていた年間販売台数1000万台突破は
ほぼ絶望的と見られています。

次に不動産価格。
国家発展改革委員会によれば、
全国70都市の9月の新築住宅価格は
前年同月比で3.9%上昇したものの、
伸び率は8月に比べて2.3ポイント低下しました。
新築住宅価格は特に広東省で下落が激しく、
深セン市では前年同月比10.8%の下落、
広州市では5.2%の下落でした。

自動車販売、住宅販売の不振に伴い、
原材料である鉄の生産量も9月は3961万トンと
前年同月比9.1%の大幅減となりました。
首都鋼鉄など鉄鋼大手が約20%の
協調減産を決めたことなどが影響したようです。
中国の粗鋼生産量が前年同月比マイナスになるのは
実に7年11ヶ月ぶりのことだそうです。

こうした景気の減速により、
今年7-9月の国内総生産(GDP)の伸び率は
前年同期比9.0%まで落ち込みました。
中国の成長率が四半期ベースで10%を下回ったのは、
2005年10-12月期以来11期ぶりのことです。

世界経済の低迷で輸出の伸びが鈍化するのは
ある程度予想されていましたが、
堅調とされてきた投資や消費などの内需にも
かげりが見えてきていることは非常に深刻です。

ほんの半年ぐらい前までは、
いかに経済過熱とインフレを抑えるかに
頭を悩ませていた国とは思えません。
世界の動きとは関係なく
独自の経済成長を続けているように見えていた中国ですが、
経済のグローバル化により中国経済でさえも
世界経済の大きな流れには逆らえないということが、
今回の件でよくわかりました。


←前回記事へ

2008年11月10日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ