第959回
コスプレに見る中国人の心の余裕

最近、上海の地下鉄では
乗客が動物の着ぐるみやヒーローの扮装をして乗車し、
周りの乗客の反応を楽しむ
「コスプレ乗車」が流行っているそうです。

今まで目撃された「コスプレ乗車」は、
ウルトラマン、スーパーマン、付け毛にスカートの女装男性、
シカのお面をかぶった白衣姿の男性、
全身を包帯でぐるぐる巻きにしたミイラ、
ニワトリの兄弟、身長180センチの太ったクマなどなど。

スーパーマンやシカは淡々と乗車して
つり革につかまっていたそうですが、
ミイラは他の乗客を手招きするアクションで
乗客の笑いを誘っていたそうです。

上海の地下鉄運営会社ではこうした流行に対し
「奇抜な服装で乗車することは、
法律・規則には何ら違反していないので、
われわれに制止する権限はない」と黙認する姿勢だそうです。

なんなんでしょう、この上海の余裕は。

新聞売りや物乞いや耳の不自由な少女が、
今日という日を生き抜くために車内を回ってくる
北京の地下鉄とは大違いです。
別に、「コスプレ乗車」が見られる上海がうらやましい、とか、
北京市民にも地下鉄で「コスプレ乗車」をしてほしい、
などというわけではありませんが、
やはりなんだかんだ言っても上海は北京より
3-5年は時代の先を行っているように感じます。

コスプレと言えば、中国ではここ数年、
日本のアニメキャラクターの衣装を着るコスプレが
若者の間で流行しており、
そうした人たちが集まる「コスプレ大会」や
「コスプレイベント」も全国各地で開催されているようです。

「コスプレ乗車」にしても「コスプレ大会」にしても、
一部の大都市での現象ではあります。
しかし、13億人民全員が金儲けに血眼になっていた
5-6年前と比べると、
最近はずいぶん中国という国全体に
生産的ではない遊びの部分、というか、
そうした心の余裕が出てきているように思えます。

バグダッドや平壌でコスプレが流行るとは思えません。
そう言った意味ではコスプレの流行はその国民の心の余裕を表す
バロメーターの一つなのかもしれません。


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2008年12月5日(金)

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