第995回
2032年の中国の国家主席は誰?

共産党中央に対する造反が明暗を分けた
広東省党委書記・汪洋氏(53歳)と
中国人民銀行総裁・周小川氏(61歳)は
いずれも中国共産党指導部の第5世代と呼ばれています。
胡錦涛国家主席の後継者と目されている
習近平国家副主席(55歳)と
李克強副首相(53歳)も第5世代に属します。

第1世代は毛沢東指導部、
第2世代はケ小平指導部、
第3世代は江沢民(82歳)指導部、
第4世代は胡錦涛総書記(66歳)率いる現指導部です。

第3世代以降は
10年で1世代若返るようなシステムになっており、
第5世代は2012年の第18回党大会から10年間、
2022年まで中国を率いていく予定になっています。

2022年時点での政府の顔ぶれが
ほぼ確定しているだけでもすごいことなのですが、
中国では更にその次の第6世代の指導者も
頭角を現しつつあります。

その第6世代の出世頭と言われているのが、
今回河北省省長に昇格した胡春華氏(45歳)です。

同氏は2008年4月に河北省の省長代理に就任しましたが、
その半年後の9月に同省石家荘市の
乳製品メーカー・三鹿集団が生産した粉ミルクに
有害物質メラミンが混入されていた事件が発覚、
河北省人民政府の検査体制の甘さが厳しく糾弾されました。

しかし、その後胡春華氏は省長代理として問題の解決に尽力、
三鹿集団の破産や被害者補償の手続が始まり、
刑事事件も一審判決が出る見通しがついたため、
同氏は今回の事件で大きな打撃を受けた
河北省人民政府を立て直したとの評価を受け、
今回予定通り省長に昇格しました。

まだ先の話ですのでどうなるかわかりませんが、
第6世代の胡春華氏がこのまま順調に出世を続ければ、
2022年の第20回党大会の時に59歳で総書記に選ばれ、
2032年まで10年間、中国を率いていくことになります。

2032年と言えば今から23年後。
ゴールドマンサックスのBRICsレポートによれば、
中国は日本をとっくの昔に抜き去り、
アメリカと共に世界の二大経済超大国と呼ばれている頃です。
これだけ先まで政治の先行きが見えていれば、
長期的な成長戦略も描きやすいというものです。

一方の日本は10年後どころか
来年の今日、誰が首相をやっているかさえ
誰も予想することができません。
これでは、日本の国家としての長期的なビジョンや
方向性を打ち出せという方が無理です。

民主主義を否定するつもりはありません。
しかし、政権が短期でころころと変わり、
その度に政策が変わってしまうような状態は、
日本の将来にとって決して良いことではないと
私は思います。


←前回記事へ

2009年2月25日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ