第1016回
日本が中国に追い抜かれる日

みなさんは日本が経済規模で
中国に追い抜かれる日が来るのは、
いつぐらいだと認識していますか。

5年後?それとも10年後ぐらい?
とんでもない!

日本は来年、2010年にはGDPで中国に抜かれ、
1968年に当時の西ドイツを追い抜いて以来、
40年以上にわたって守り抜いてきた
世界第2位の経済大国の座を明け渡し、
第3位に転落するかもしれません。

IMF(国際通貨基金)のレポートによれば、
2007年の中国のGDPは3.35兆米ドルだったのに対し、
日本のGDPは4.38兆米ドルでした。
2008年の各国のGDPはまだ発表されていませんが、
為替の変動を考慮せず単純に中国の成長率が9.0%、
日本が-0.7%だったとすると、
2008年のGDPは中国が3.65兆米ドル、
日本が4.35兆米ドル。

今年2009年は、
中国が「保八(ばおぱー)」で8%成長を死守し、
日本の成長率が日銀の予想通り-2.0%の
マイナス成長だった場合、
GDPは中国が3.94兆米ドル、
日本が4.26兆米ドルとかなり接近してきます。

そして運命の2010年。
各国の経済が金融危機のダメージを
どのぐらい克服できるかは今から予想できませんが、
例えば、中国が若干回復して
2007年並みの9%成長を達成すると、
日本がゼロ成長まで回復したとしても、
両国のGDPは中国が4.29兆米ドル、
日本が4.26兆米ドルと逆転することが予想されます。

上記は極端に単純化した机上の計算であり、
実際にはどうなるかわかりませんが、
それでも日本が中国に追い抜かれる日が
もうすぐそこまで来ているのは事実です。

にも関わらず、日本政府もまたそれを報道するマスコミも、
国民の不安をいたずらに煽ってはいけないという配慮からか、
はたまた目先の金融危機対策でそれどころではないのか、
この話題に触れることはほとんどなく、
このため国民の大多数は
日本が来年にも中国に追い抜かれるなどとは、
夢にも思っていないのでないでしょうか。

たぶん、近い将来、いつものように仕事から帰ってきて
ビールを飲みながらテレビのニュースを見ていると
「では次のニュースです。昨年の日本のGDPは中国に抜かれ、
日本は世界第2位の経済大国の座を明け渡し、
第3位に転落しました」というニュースが突然流され、
あまりに「寝耳に水」の事実に
缶ビールを持ったままテレビの前に立ち尽くしてしまう人が
たくさん出るかもしれません。
そうなると自虐性の強い日本人の国民性から
「1億総自信喪失」なんていう事態に
陥ってしまわないか心配です。

そうした事態を避けるためにも、
日本政府やマスコミはこの事実を今から国民に知ってもらい、
「日本を追い抜いて更に成長を続ける
世界第2位の経済大国・中国と、
今後どうやって付き合っていけば良いのか?」
ということや
「第3位になっても国民が幸せに生きていくためには、
日本はどういう方向に進めば良いのか?」ということについて、
国民全員がもっと真剣に考える雰囲気を、
作る必要があるのではないか、と私は思います。


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2009年4月15日(水)

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