第1017回
日本没落の半世紀

前回、来年2010年には日本がGDPで
中国に追い抜かれるかもしれない、
というお話をしましたが、
このことは実は随分前から予想されていたことでした。

アメリカの大手証券会社・ゴールドマンサックスが
2003年10月に発表したBRICsについてのレポート
「Dreaming with BRICs」は非常に有名ですが、
その後同社は2007年3月にその改訂版に当たる
「The N-11 : More than an Acronym」
というレポートを発表しています。

この2007年改訂版によれば、
日本がGDPで中国に追い抜かれて世界第3位になるのは、
まさに2010年と予測されています。

そしてその後日本は、インド、ブラジル、ロシア、メキシコ、
更にはインドネシアにまで追い抜かれ、
2050年の日本の順位は第8位、
GDPではダントツ第1位である中国の
1/10以下になることが予想されています。

経済規模で世界第8位というと、
今の順位ではスペインと同じですので、
世界経済の中ではかなり影の薄い存在となりそうです。
ゴールドマンサックスのシナリオ通りにことが運ぶとすると、
経済規模という観点からのみ考えれば、
日本にとって21世紀前半は
没落の半世紀ということになりそうです。

では、日本の没落を食い止めるためにはどうすれば良いのか?

日本を追い抜くと予想されている国の顔ぶれをみると、
人口が日本より多いか、
これから多くなることが予想されている国ばかりです。
人口が日本より多ければ、
1人当たりのGDPが日本より多少少なくても、
総額で日本を追い抜くことができるのです。

一方の日本は2005年に人口が
1億2700万人でピークに達した後減少に転じ、
2050年には1億人を割り込むことも予想されています。

このため日本政府は更に進む高齢化社会を支える
労働力世代を増やすためにも、
「産めや増やせや」政策を採っています。
しかし、中国がえらい苦労を背負い込むことを承知の上で、
あえて1人っ子政策という強烈な人口抑制政策を
継続しているのを目の当たりにしていると、
日本を始めとする各国が世界の中での
自国の経済的発言力を維持するために
人口増加競争をすることが、
地球の未来にとって本当に良いことなのか
疑問が湧いてきます。

日本はGDPの総額で
他国に追い抜かれることを没落とは捉えず、
国全体を高付加価値化して
1人当たりのGDPを高める
努力をすべきなのではないでしょうか。
そして、GDPの総額や人口は少なくても
国民みんなが豊かで幸せに暮らせる国を目指し、
これを新たな「ニッポンモデル」として、
各国が手本とするような存在になるべきなのではないか、
と私は思います。


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2009年4月17日(金)

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