第1029回
就職超氷河期の大卒者に一筋の光明

世界的な金融危機の影響による景気の後退で、
日本では大卒者の就職戦線が氷河期を迎えています。

この春卒業するにも関わらず
採用内定を取り消された大学生は約1500人。
また、来春の新卒採用も多くの企業が
今年より減らす予定であるようです。

企業に接待されながら就職した、
いわゆる「バブル入社」の私に言われたくはないでしょうが、
こんな景気の悪い時期に就職活動をしなければならない
大学生のみなさんは本当に大変だと思います。

ただ、いくら景気が悪くても、
支払う給料以上の付加価値を生み出せる人は
どこの会社も欲しいはずですので、
今は様々な経験をしたり、実力を磨いたりして、
景気の変動に人生を左右されない人材になることを
目指して頂きたいと思います。

一方の中国の就職戦線は、日本より更に氷河期です。

もうすぐ卒業する中国の今年の大卒予定者は
前年比9.3%増加して611万人。
ここに更に昨年卒業したのに
未だに就職できていない150万人が加わり、
合計750万人強の大卒者が就職活動をすることになります。

それに対する求人数ですが、
昨年は560万人の大卒者に対して就職決定率は70%強、
410万人しか就職できませんでした。
今年は昨年並みの大卒者が就職できるとしても、
求職者の半分近い340万人が職にあぶれる計算になりますが、
景気の減速により中国でも各社とも
大卒者の採用を減らすことが予想されますので、
職にあぶれる大卒者の数が更に大きくなるのは必至です。

しかし、そんな就職超氷河期真っ只中の
中国の大卒者にも一筋の光明が射してきました。
世界各国で中国語学習がブームとなっており、
中国語の教師が大量に不足する見込みなのです。

世界各国の中国語の学習者は2010年に1億人を超え、
これに伴い不足する中国語教師人材は
400万人以上と言われています。

そして肝心の収入の方も
中国国内で教える中国語教師は月7000元(101,500円)前後、
海外に行けば更に高収入となるそうです。
中国国内の大卒者の初任給が
2000-3000元(29,000-43,500円)であることを考えると
かなりの高給です。

このため、今年に入ってから中国国内の32大学が
新たに外国人に中国語を教える人材を育成する学部を設置、
中国人民大学によれば、海外で中国語教師になることは
既に学生の間で人気の進路となっているのだそうです。

400万人分の仕事が創出されれば、
中国の大卒者の就職超氷河期状態は
一気に解消されることになります。

世界の中国語ブームは
中国の大卒者の就職難問題を解決できるのか。
今後の成り行きに注目です。


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2009年5月15日(金)

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