第1033回
なぜ北京のマンション投資は利回りが低いのか?

金持ち本の中で、今やバイブル的存在になっている
ロバート・キヨサキさんの「金持ち父さん、貧乏父さん」。

私もこの本の中の
「サラリーマンをやっていては、ラットレースから抜け出せず、
一生金持ちにはなれない」という記述に衝撃を受け、
サラリーマンを辞めて独立起業することを
真剣に考え始めました。

この本の中でロバート・キヨサキさんは、
不動産投資による不労所得を増やすことをススメています。
同氏のやり方は
銀行からおカネを借りて不動産に投資するのですが、
家賃収入から銀行に支払う利息を差し引いた
毎月のキャッシュフローが
プラスになる不動産資産をどんどん増やしていけば、
働かなくても毎月のキャッシュフローで
生活することができる、というものです。

ロバート・キヨサキさんはこの方法はアメリカだけでなく、
世界中どこでも通用する、とおっしゃいますが、
こと北京に関しては成り立たないような気がします。
なぜかと言うと、北京では家を借りる人が極端に少ないからです。

現在、北京のマンション建設ラッシュ地帯である、
東四環路付近の間の新築マンション価格は
平米当たり12000元(168000円)前後。
ですから、2LDK、100uぐらいの部屋で
価格は120万元(1680万円)します。

一方の家賃ですが、東四環路付近の
100uのマンションの家賃相場は月4500元(63000円)程度。
利回りは表面でも4.5%ですので、
銀行から5-6%の金利でおカネを借りて不動産投資をすると、
確実にキャッシュフローがマイナスになってしまいます。

なぜ北京の家賃相場がこんなに低いのかと言うと、
北京で部屋を借りる人が
外国企業の駐在員ぐらいしかいないからです。
外国企業の駐在員ならば、月の家賃が4500元でも
会社が払ってくれるので全く問題はないですが、
大卒初任給が2000-3000元(28000-42000円)
と言われる北京において、
地元の人でこの家賃を払える人は多くありません。

逆に4500元の家賃を払える人、となれば、
少なくとも月収10000元(140000円)以上の人となりますが、
月収10000元以上の高給取りともなれば、
普通は自分でマイホームを買ってしまいますので、
中国人の人で4500元の家賃を払ってまで
部屋を借りる人は非常に限られてきます。

というわけで、
北京で4500元の家賃を払って部屋を借りる人は、
会社が家賃を払ってくれて、
数年経ったら北京とオサラバするので
マイホームを買う必然性がない
外国企業の駐在員ぐらいしかいなくなってしまうのです。


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2009年5月25日(月)

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