第1067回
「少年先鋒隊」の効用

今回の希望小学校訪問では、
希望小学校の先生による普段の授業を見せて頂く、
という機会がありました。

その授業でビックリしたのは、
授業が始まる前にいきなりクラス全員が歌いだしたことです。

後で希望小学校の先生にお伺いしたところ、
子どもたちが歌っていた歌は「少年先鋒隊」の歌だそうです。
毎回授業の前に歌うわけではありませんが、
「国歌」など他にも必ず子どもたちに
歌わせなければならない歌が何曲か国家から指定されており、
1日何回かは歌ってから授業に入るのだそうです。

これは中国の「愛国教育」、「共産主義教育」の一環なのですが、
先生によれば授業の前に歌うことによって授業に集中したり、
精神を高揚させたりする実際的な効果もある、とのことでした。

毛主席曰く「謙虚な心は人を進歩させ、
傲慢は人を退化させる」

子どもたちが歌っていた
中国少年先鋒隊(少先隊、しゃおしぇんどぅい)は、
胡錦濤国家主席の出身母体である
中国共産主義青年団(共青団、ごんちんとぅあん)の
下部組織で、14歳以下の子どもに入隊資格があります。
中国ではまず小学校で少先隊に入隊し、
その後14-28歳に入団資格がある共青団に入団し、
それから中国共産党の党員になるのが、
将来、中国共産党の高級幹部になるための
エリートコースなのだそうです。

ただ、エリートコースの第一歩と言っても、
少先隊は「成績優秀、品行方正」であれば
基本的に誰でも入隊が認められ、
この希望小学校でも3年生以上は
全員隊員になっているそうです。

隊員は紅領巾(ほんりんじん)と呼ばれる
赤いスカーフを授与され、
学校に来るときには必ずネクタイのように首に巻きます。

今回は夏休み特別授業のため紅領巾はなし

私はこの少先隊の制度は、
希望小学校の子どもたちががんばって勉強したり、
積極的に先生や友達を手伝ったりするような
雰囲気を醸成するために
おおいに役に立っているのではないかと思いました。
なぜなら、成績や素行が悪くて少先隊に入れず、
紅領巾がもらえなかった生徒は一目瞭然ですので、
毎日学校でものすごく肩身の狭い思いを
しなければならないからです。

「成績優秀、品行方正」な生徒をマジョリティにして、
マイノリティの「成績不良、素行不良」の生徒に
恥ずかしい思いをさせ、マジョリティの方に入ることを促す。
こうした腹黒いやり方はいかにも中国共産党らしいですが、
それで生徒がまじめに勉強し、学校の秩序が保たれるならば、
それはそれで良いのかな、と思います。

日本の学校で言えば、学級委員1人がまじめだと、
他の生徒から後ろ指を指されたりしますが、
生徒のほとんどを学級委員にしてしまえば、
不まじめな生徒の方が肩身が狭くなる、ということです。

日本の教育関係者や親たちは
「そんな生徒を線引きするようなことは許されない!」
と反対するかもしれませんが、
学級が崩壊して、まじめに勉強をしたい子どもたちの
勉強する権利が侵されるよりは、
ずっとマシなのではないか、と私は思います。


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2009年8月12日(水)

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