第1075回
お金には鎮痛作用がある!?

先日、広東省にある中山大学心理学部の周欣悦副教授が
「お金には鎮痛作用がある」という内容の論文を発表しました。

周副教授は548人の学生を対象に6つの実験を行い、
お金が生理的苦痛と社会的苦痛を
抑える作用があることを証明しました。

その実験の1つは、学生を
実際のお金を使って枚数を数えたグループと、
同じサイズの普通の紙の枚数を数えたグループに分け、
数え終わった後に
手を熱めのお湯に入れてもらうというものでした。
その結果、実際のお金を使って枚数を数えたグループの方が、
熱さを感じる度合いが低かったのだそうです。

この結果は何となくわかるような気がします。
たくさんのお金を触るとうれしくなって、
そのうれしさにより脳から痛みを和らげるような
物質が分泌されるのでしょう。
この実験で学生が数えたのは自分のお金ではありませんが、
自分のお金だったら鎮痛作用は
もっと大きいのではないでしょうか。

よく預金通帳の残高の数字を眺めて
悦に入っている人がいますが、
そういう人は銀行に行って預金を全部下してきて、
毎日、実際のお金を数えた方が
苦痛を感じることが少ない
より幸せな生活を送れるのかもしれません。

一方で周副教授は「お金を失った人の心の痛みは、
肉体的な痛みと非常に似ている」と言っています。

これもよくわかります。
特に高額の商品を買う時などは、
クレジットカードで買うとそれほど心が痛みませんが、
現金の束を店員に渡した後の心の痛みは、
確かに体の一部をもぎ取られたような気持ちになります。

こう考えていくと、毎日、
苦痛を感じずに幸せに生きていくためには、
1.お金をもらう時には現金でもらう
2.お金を払うときにはクレジットカードや銀行振り込みにする
3.銀行預金を全額下して、毎日、現金を数える
ということになりそうです。

何だか現実を直視せず、自分を騙して感覚を麻痺させる
逃避行動に過ぎないような気もしますが...。

周副教授の論文に対しては中国国内でも
「拝金主義を助長する」との批判の声が上がっています。
しかし、お金と無縁では生きていけない
現代人の生活においては、
お金との付き合い方は非常に大切である、
ということは確かなようです。

人生、お金が全てではありませんが、
お金が人生の質にも大きな影響を与えることをよく認識して、
お金とは上手に付き合っていきたいものですね。


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2009年8月31日(月)

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