第1081回
「歌って踊る債権回収屋」

先日、重慶市の建設会社が、
工事代金の支払いを渋る会社に歌と踊りで支払いを迫った結果、
680万元(9,520万円)を回収することに成功しました。

この建設会社は中治建工集団の支社。
北京の会社が重慶に置いている事務所から工事を受注し、
工事は既に3年も前に完工したにも関わらず、
この事務所は代金を支払わず、
裁判所の支払命令にもなんだかんだと理由を付けて
支払いをしていなかったのだそうです。

そこで、この建設会社は同支社を定年退職した
50-70歳代の元社員約40人を集め、債務者の事務所に派遣、
「♪私のものを盗ったら返してくれ〜♪、
 ♪私のものを食べたら吐いてくれ〜♪」
という内容の流行歌の替え歌を踊り付きで歌わせました。

当初は頑なだった債務者も、
歌と踊りが3日連続で行われた頃からは態度を変え、
最終的に全額の支払いを約束したのだそうです。

重慶市の警察関係者もこの方法を高く評価しており、
「コストが低い上に、暴力的な衝突も避けられる。
相手に無形の圧力を掛けることができ効果的だ」としています。

私、こんなにすごい
債権回収の方法を聞いたのは初めてです。

最近はかなりよくなってきたとは言え、
やはりのらりくらりと逃げ回って
代金を支払わない中国企業はまだまだたくさんあります。
特に、このケースの債務者のように、
裁判所の支払命令まで無視するような猛者から
代金を回収するのは、普通ならほぼ不可能です。

とは言え、そちらが法律を無視するなら、
こちらも目には目を、ということで、
黒社会(へいしゃーほい、暴力団)に取り立てを依頼したり、
腐った魚を送り付けたりと言った
違法なやり方でいやがらせをすれば、
逆にこちらの手が後ろに回ってしまうかもしれません。

その点、歌って踊るという、
こうした「ユルい」いやがらせならば、
違法性がないにも関わらず、
債務者はものすごく恥ずかしい思いをしますので、
効果も高いのではないでしょうか。

もし、私の会社に毎日40人の年寄りが来て、
会社の前で歌って踊られたら、
私だったら「すぐに全額払いますから、
明日からは来ないでください」と懇願します。

毎日ヒマでやることがない全国の定年退職者を組織して、
カネを払わない会社に毎日派遣して歌って踊らせ、
回収できたら回収金額の一部を成功報酬としてもらう。
こんな「歌って踊る債権回収屋」を始めたら、
結構よいビジネスになるかもしれません。


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2009年9月14日(月)

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