第1084回
世界に影響を与える中国の株式市場

最近、ニュースの株式相場情報を聞いていて気になるのは、
ニューヨークの株式市場の騰落の解説に
「上海市場の上昇を好感して...」とか、
「上海市場が下げたことを理由に...」
というような表現が増えてきたことです。

中国の株式市場は、ニューヨーク、東京に次いで
世界第3位の大きさとなったものの、
その市場規模はまだニューヨークの1/4以下です。
しかし、その中国の株式市場の動向に、
4倍以上の市場規模を持つ
ニューヨークの株式市場が敏感に反応する、ということは、
アメリカの投資家がいかに中国経済の動向に
神経を尖らせているかがわかります。

2007年2月にも「上海発世界同時株安」が発生し、
世界の人々は中国経済が世界経済に与える影響力が
予想以上に大きくなっていることを再認識させられました。
しかし、昨年の金融危機以降、
世界経済が総崩れになる中で
中国はいち早く景気後退から脱却し、
今年は計画通り8%成長を達成しようとしていることから、
世界経済における中国の存在感は
更に高まっているように思います。

これにより今世界では、
中国が牽引役になってくれて
世界経済を不景気のどん底から
引き上げてくれるのではないか、
という期待が高まっています。

私は現在、インターネット版日経新聞の中の
日経ネットPlusのフォーラムにおいて、
零細引越屋のオヤジの分際で、
恐れ多くも大和総研のエコノミストの方や、
慶応大学の准教授の方など中国の専門家の方々と一緒に
パネリストとして発言する機会を頂いています。
そのフォーラムのテーマは「中国は世界を救うか」。(
数年前まではあり得なかったテーマの設定です。
ここ数年で世界の中での中国の位置付けや、
期待される役割が急激に変わっていることがわかります。

世界の中で益々その存在感を増す中国ではありますが、
気を付けなければいけないのは、
中国の株式市場は博打好きの国民が集まる
公営カジノの役割も担っているため、
実体経済とはあまり関係のないところで乱高下することです。
こんな市場の騰落にいちいち一喜一憂していたら、
心臓がいくつあっても足りません。

今後世界は、中国の株式市場が
ジェットコースターのように上がったり下がったりする度に
過敏に反応して振り回されるのではなく、
「ハイハイ、またですか...」と冷静に対応する
必要があるのではないかと思います。



 http://netplus.nikkei.co.jp/forum/global/t_488/index.php


←前回記事へ

2009年9月21日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ