第1090回
役人から権限を奪い取れ!

今、中国は国慶節の8連休の真っ最中です。
10月1日の国慶節パレードの模様は
日本でも報道されたかと思いますが、
今年は建国60周年ということで、
中国政府は例年になく国慶節の準備に力を入れていました。

中国政府が何かに力を入れると、
私たち中国でビジネスをしている者にとっては
ロクなことが起きません。
役人が不必要に取り締まりを厳しくするのです。

当社も例外ではありませんでした。
通常、日本から北京に引っ越してくるお客様のお荷物は、
北京税関でもダンボール箱を開けられることなく、
比較的簡単に別送品の関税免除手続が完了します。

しかし、今回、建国60周年の国慶節を前に
北京税関が俄然はりきり始め、
全てのダンボール箱を開けて中を検査した上で、
「中国本土と台湾省を色分けした地図が
掲載された本があった!」とか、
「中国政府に批判的な記事を載せた雑誌があった!」などと
重箱の隅を突付くような指摘をし、
懲罰的に高額な関税を課してきました。

これに対し当社は猛然と抗議しましたが、
北京税関は「規定通りに検査して、
規定通りに課税しているだけだ」として
全く取り合ってくれません。
規定通りに処理すれば全量検査、全量課税となるが、
普段は現場の役人の裁量で手続を簡素化したり、
目こぼししてやっているだけだ、ということなのです。

税関関係のものに限らず、
中国の法律や規定は非現実的に厳しく
設定されていることが多いです。
それは中国が「上に政策あれば、下に対策あり」の国であり、
緩い法律や規定を作ると、必ずその抜け穴を探して
くぐり抜けようとする輩が出てくるためです。
そして、全ての抜け穴を徹底的に塞ごうとすると、
こうした非現実的な法律や規定になってしまうのです。

しかし、非現実的に厳しい法律や規定を、
全ての国民に100%守らせていては国が回っていきません。
そこで、中国政府は現場の役人に権限を与え、
彼らが自分の裁量で「特例」として許可を出したり、
「黙認」したりすることによって、
非現実的な法律や規定と現実の世界の溝を埋めようとしました。

これがいくら中国が法整備を進めても
「法治国家」ではなく「人治国家」と呼ばれる所以であり、
こうしたシステムが役人の汚職の温床となっているのです。

中国政府が中国を崩壊させかねない最大の火種である
役人の汚職を撲滅したいと思ったら、
まずは法律や規定を現実的なものに直し、
その上で現場の役人から権限を奪い取り、
役人を法律や規定に従って淡々と事務をこなす
本来の役割にまで格下げすることが
必要なのではないかと思います。


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2009年10月5日(月)

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