第1113回
汚職党員告発サイト

先日、中国共産党中央紀律検査委員会と監察部は、
「挙報網站(じゅぃーばおわんぢゃん、告発サイト)」(
というサイトを開設しました。

このサイト、共産党員の汚職を
告発したいと思った国民がアクセスし、
そこから汚職を告発できる、というサイトです。

まずは、サイトにある
「我要挙報(うぉーやおじゅぃーばお、告発したい)」
というボタンをクリックすると、省のリストが現れます。
そして、自分が住んでいる地域をクリックすると、
地元地方政府の告発サイトが開き、
そこから汚職を告発できる、というものです。

元々こうした告発サイトは
各省が独自に運営していたのですが、
告発サイトの存在自体を知らない国民も多いため、
今回、全国統一の告発サイトを開設し、
そこから各省の告発サイトに飛べるようにして、
国民が汚職を告発しやすいようにしたのだそうです。

今の中国共産党の一党独裁体制にとって、
汚職や無茶苦茶な行政をする「共産党員」は、
「ウイグル」や「チベット」や「法輪功」などより、
ずっと大きなリスク要因です。
今回の告発サイト開設は、
中国共産党と汚職党員を切り分け、
「中国共産党は国民のみなさんの側に立って、
汚職党員を一緒にやっつけます!」という、
求心力回復キャンペーンの一環であると思われます。
中国共産党も必死です。

ということで、私は早速、この「挙報網站」から
北京市の告発サイトに入ってみました。
「挙報網站」からわずか3クリックで
告発フォームにたどり着けますので、
非常に手軽に告発をすることができます。

北京市の告発フォームは、
名前や電話番号を書く欄はあるものの、
必ず記入しなければいけないのは
1.e-mailアドレス、2.題名、3.告発内容、の
3項目だけですので、
告発した相手に自分が告発したことがバレて、
逆恨みによる報復をされるような危険もありません。
この点も非常に良いと思いました。

問題は告発した内容に対して、
本当にきちんと対応してくれるのかわからない、
ということです。
これだけ手軽に告発できるとなると、
毎日、ものすごい量の告発が届くでしょうし、
中には匿名であるのを良いことに個人的な恨みから
汚職のガセネタを送るような輩もいるかもしれません。
それらを1件1件調査して、
真偽を確かめた上で処分するには
膨大な時間と労力が必要です。

とりあえず国民の告発を聞いたフリをして、
あとは放置しておく、などという
小手先のガス抜きでは国民の不満は収まりません。
中国共産党は国民が告発しやすいように
告発サイトを作るのも良いですが、
その告発にきちんと対応できるように
中央紀律検査委員会の人員と権限を
大幅に増強する必要があるのではないかと思います。

 http://www.12388.gov.cn


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2009年11月27日(金)

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