第1123回
新型インフルエンザにまつわるうわさ

北京でも先日、
新型インフルエンザ予防ワクチンの無料接種が始まりましたが、
中国の感染者数はまだまだ増えているようです。

そんな中、北京では
「にんにくを食べれば新型インフルエンザを予防できる」
といううわさが広まり、にんにくを買い求める人が急増、
北京市のにんにく価格は前年同期比で10倍に急騰しました。

北京市最大の農産品卸売市場である
「新発地市場」の関係者によれば、
価格急騰の背景にはこのうわさのほかに、
一部の投機資金がにんにく市場に流れ込み
価格操作が行われている、ということもあるそうです。
どうもこのうわさ、
にんにくを買い占めた投機筋が流している
デマである可能性もありそうです。

また、今中国では
「新型インフルエンザが治った人の血液を輸血すると、
新型インフルエンザが治る」
といううわさも流れているようです。

これは今年10月末、広西チワン族自治区南寧市で
重症に陥った新型インフルエンザ患者に、
既に治癒した人の血液を使った治療をしたところ
病状が好転した、という報告がなされ、
同自治区衛生庁が、新型インフルエンザが治って
半年以上経過した人に献血を呼びかけたことから、
この動きが全国に広がったものです。

しかし、北京大学の専門家は
「新型インフルエンザ抗体を含んだ血清は問題が多い。
使用は慎重にすべきだ」と指摘、
国家衛生部の専門家も
「ほかに治療法がない危篤の患者を対象とするもので、
普通の病状の患者には絶対に使用を勧めない」
としています。

確かに治癒した人の血液には
新型インフルエンザの抗体ができているでしょうから、
その血を輸血すれば体内に入り込んだウイルスを
撃退することができそうな気もしますが、
そんなに単純な話ではなさそうです。

感染性の病気が蔓延して、人々の心が不安な状態に陥ると、
その心の隙を突いて様々なうわさやデマが流れます。
私たちはそうしたうわさやデマに踊らされることなく、
信用に足る確かな情報だけを選んで
行動しなければいけないな、と思いました。


←前回記事へ

2009年12月21日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ