第1159回
シャッフルできない「iPod shuffle」

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という意味では、
ライバル店の状況を調べるのも重要ですが、
お客さんとなる消費者の気持ちを知ることも大切です。

そこで気がついたのは、
私自身が「淘宝網」で買い物をしたことがない、
という事実でした。
もう、順番が無茶苦茶です。

早速、「淘宝網」で何か買い物をして、
消費者の気持ちを理解しよう、と思ったのですが、
元々私は物欲があまり旺盛ではなく、
買いたいものを思いつきません。

いろいろと考えた末、
アップル社の携帯型音楽プレーヤー「iPod」を
買うことにしました。

私は最近、
「平原綾香チャリティーコンサートin北京」の
北京日本人会担当副会長に任命されたのですが、
大変失礼ながら、それまで平原綾香さんの歌を
ほとんど聴いたことがありませんでした。
そこで、4月のコンサートまでに
平原綾香さんのアルバムを聴き込んで、
平原綾香さんの歌の真髄を理解しなければいけない、と思い、
いつでもどこでも彼女の歌が聴けるように
「iPod」を買うことにしたのです。

「淘宝網」で「iPod」と検索すると、
これまた80万点以上もの商品がヒットしました。
しかし、値段を見ると、
「iPod shuffle」が50元(650円)前後、
液晶画面がある「iPod nano」でも
100元(1,300円)前後と妙に安い。
そして、店の所在地の多くが
模倣電子製品のメッカ・「広東深セン」。
なーるほど。
これが2008年の流行語にもなった模倣電子製品、
世に言う「山寨貨(しゃんぢゃいふぉ)」ですか...。

私は結局、「広東深セン」のお店で
49元(637円)の「iPod shuffle」を買いました。
深センから北京までの送料15元(195円)と合わせて、
しめて64元(832円)也。
支付宝(じふばお、アリペイ)に口座を開いて、
私の招商銀行の口座から代金を振り込むと、
深センから北京まで2400kmもあるにも関わらず、
ほんの数日で商品が送られてきました。
これで送料が15元なら、
北京の東の電気街・「百脳匯(ばいなおほい)」まで
タクシーで往復30元かけて買いに行くより、
2400km離れた深センの店からネット販売で買った方が合理的、
と考える人がたくさん出てきても、おかしくはありません。

49元の「山寨iPod shuffle」

この「iPod shuffle」、多分、というか
値段からして確実に「山寨貨」ですので、
品質に不安があったのですが、
まったく問題なく音楽が聴けます。

せっかく「iPod shuffle」を買ったので、
曲順をシャッフルしてみようしたのですが、
あれ!?、
ホンモノには付いている
シャッフルへの切り替えスイッチがない!!。
そう、この「iPod shuffle」は
シャッフルできない「iPod shuffle」だったのです。

シャッフルできない「iPod shuffle」をつかまされたとは言え、
「淘宝網」での買い物はあっけないほど簡単で快適でした。
私はこの「山寨iPod shuffle」を使い続けていますが、
シャッフルできないのが不満であれば、
7日以内に返品しておカネを返してもらうことも
可能なシステムになっています。

今のところ、中国のネットショッピング経験者は、
3億6000万人のインターネット人口の内、
1/4の9000万人に止まっています。
しかし、今回「淘宝網」で実際にネットショッピングをしてみて、
この簡単さ、快適さを一度でも体験する人が増えてくれば、
中国のネット販売マーケットは今後、
更に急激に伸びていくのではないか、と私は感じました。


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2010年3月15日(月)

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