第1167回
日本から一歩も出ずに中国マーケットを開拓する方法

「中国ネット販売はおしりに根が生えた
日本人を救う救世主となり得るのか」。

こうしたテーマの下、
最もネット販売におけるシェアが大きく、
最も手軽に出店できる「淘宝網」を体験してきました。

ここまででわかったのは、
「淘宝網」は既に百戦錬磨の猛者たちが
しのぎを削る激しい戦場となっており、
のんきな日本の地方の中小企業が、
出店業者に10万円払って自社製品を担いで参戦しても、
まず勝ち目はないだろうということでした。

しかし、今でも多くの中国の人たちの
「日本産品(りーべんちゃんぴん)」の品質に対する
安心感、信頼感にはゆるぎないものがあります。
日本に旅行に行く中国人旅行者のみなさんが、
日本でたくさんのモノを買って帰りますが、
あれは同じ日本メーカーのモノでも、
中国の工場で作ったものではなく、
日本の工場で作ったホンモノの「日本産品」であることに
大きな価値があるためです。

ちなみに、日本では
「1回の旅行で数十万円もの買い物をする
金持ち中国人が日本に旅行に行っている」
ということになっています。
しかし、実際には1人の旅行者の後ろに、
その旅行者に「日本産品」の買い物を委託した
何十人もの親類縁者や友達たちがいるため、
買い物の総額が数十万円になってしまうだけであって、
その中国人旅行者自身はそれほど金持ちではない、
というケースが多いのではないかと思います。

彼らにとって日本への旅行は
「買い物天国・日本への「日本産品」買出しの旅」であり、
観光は「せっかく日本まで行くのでついでに...」なのです。

そういった意味では、
中国マーケットにアクセスするためには、
中国で起業するのはおろか、
「淘宝網」に出店する必要さえないのかもしれません。

地方の中小企業1社では難しいかもしれませんが、
何十社かが共同で東京にそれぞれの企業の
自社製品を集めた展示即売アンテナショップを作り、
旅行会社とタイアップして、そのショップを
中国人旅行者のツアーに組み込んでもらうだけで、
少なくとも多くの中国人の人たちに
自社製品を知ってもらうことができます。

もちろん、親類縁者や友達たちの
買い物委託は指名買いですので、
中国で知名度がない日本の中小企業の製品は、
最初は全く売れないかもしれません。

しかし、中国のニーズに合った
本当に良い品質の製品が安く売られているのであれば、
1人の旅行者の後ろの数十人、
そのまた後ろの数千人に口コミで伝わり、
中国で大ヒットする「日本産品」が生まれる可能性も
無きにしも非ずなのではないか、と私は思います。


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2010年4月2日(金)

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