第1166回
中国の宅配便・「快递(くぁいでぃー)」

今回、「淘宝網」で何度も買い物をしてみて感心したのは
「中国の宅配便は意外にもきちんと届く」ということです。

私が中国に来たばかりの十数年前は、
中国国内で小包を送る手段は郵便しかありませんでした。
そして郵便しか手段がないにも関わらず、
これが全く信用できず、途中でどこかに行ってしまい、
郵便局に文句を言っても
「没弁法(めいばんふぁー、仕方ない)」で
片付けられてしまうこともありました。

このため、絶対になくなっては困る
重要な書類やサンプルなどは、
地方の国有企業の人が十何時間も汽車に乗って、
わざわざ北京まで届けに来てくれることもありました。

こうしたイメージがあったため、
「淘宝網」で初めて北京から2400kmも離れた
広東省深センのお店から
シャッフルできない「iPod shuffle」を買ったときにも、
「途中でどこかに行ってしまうのではないか」
と心配だったのですが、そんな心配も杞憂に終わり、
ほんの数日できちんと商品が届きました。

この商品を届けてくれたのは、郵便局ではなく
「快递(くぁいでぃー)」と呼ばれる、
民間の宅配便会社です。

配達料金は小さな小包1つで
北京市内ならば5-10元(65-130円)、
広東省深センから北京などの
非常に長い距離であっても10-15元(130-195円)と、
郵便局が展開する宅配便・EMSより
かなり割安な値段設定になっています。

中国の検索サイトで
「快递公司」というキーワードで検索すると、
「これでもか!」というぐらいたくさんの
「快递公司」がリストアップされます。
こうしたことからもわかる通り、
中国の宅配便業界は日本のような
大企業数社の寡占状態ではなく、
中小企業が乱立して激甚な競争を繰り広げており、
配達料金は既に極限まで低くなっているようです。

そんな中、宅配便の本家・ヤマトホールディングスが
今年1月、いよいよ上海で宅急便事業を開始しました。

ヤマトホールディングスは私にとって
大恩のある会社ですので、
ぜひとも中国での宅急便事業を
大成功させて頂きたいと心から願っているのですが、
地元中国の快递公司が、
広東省深センから北京までの小包をたった15元で、
それも何の問題もなく配達してくれるのを見ると、
彼らと同じ土俵で戦っては勝ち目がないようにも感じます。

黒猫は中国でねずみを捕まえてくることができるのか?

宅配便の本家・クロネコヤマトが、
日本で34年間の長きにわたって蓄積した
宅急便のノウハウとサービスレベルの高さで
地元企業との差別化を図り、
より多くの中国の人たちに宅急便の便利さを
享受してもらえるようになることを期待しています。


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2010年3月31日(水)

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