第1179回
日本人が日本人をだます事件頻発!

北京で発行されている日本語雑誌を見ていると
「当社は日本人経営です」という広告をよく見かけます。

これは「日本人が経営している会社なら、
お客をだますようなことはしないだろう」という
日本人消費者の心理を突いたアピールなのですが、
最近は、中国でも日本人が日本人をだますケースが
増えているようです。

先日、在広州日本総領事館は、ホームページを通じて、
広東省深セン市などで日本人が日本人をだます詐欺事件が
頻発しているとして、異例の注意を呼びかけました。

同総領事館によれば、深センのある飲食店の経営者が、
客として数回来店していた日本人の男から
「財布をすられて困っている。おカネを貸してもらえないか」
と頼まれたので貸したが、その後全く音沙汰なし。
名刺の連絡先に電話をしたところ、
男が「香港で経営している」と言っていた投資会社は
存在しないことがわかったのだそうです。

また、他にも
「日本語学校を設立するので投資をしないか」という、
架空投資詐欺とみられる話を
日本人から持ちかけられたケースもあるそうです。

冷静に考えてみれば、
中国には10万人以上の日本人が住んでいるのですから、
その10万人全員が人をだまさない善人である、
などということはあり得ない話です。

しかし、「中国の人たちは平気で人をだます」とか、
「中国人は油断ならない」といった先入観が強い分、
その反動で「日本人なら安心」となってしまうのでしょう。
日本人の詐欺師もそうしたことを全てわかった上で、
だまされる日本人の心の隙を狙ってくるのだと思います。

逆に言えば、「中国人は○○だ」と
13億人を十把一絡げに語ることには更に無理があり、
絶対に人をだまさない人もたくさんいますし、
契約通りにおカネを払ってくれる会社もたくさんあります。
私たちはそういう人や会社を選んで
お付き合いをすれば良いのです。

今後、中国に住む日本人は
どんどん増えていくことが予想されますが、
中国で人とお付き合いをするに当たっては、
「日本人だから」とか「中国人だから」という先入観は捨て、
お付き合いする人1人1人の人間としての本質を
見極める能力を磨く必要があるのではないか、
と私は思います。


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2010年4月30日(金)

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