第1186回
地王狙い撃ち!中国不動産税導入

とうとう、中国政府が本気で
不動産価格の抑え込みに乗り出しました。

中国は昨年、
世界的な金融危機による景気減速の対策として、
大幅な金融緩和を行いました。
これにより、銀行融資が急増、
その多くが不動産市場に流入し、
中国の一部の地域では
不動産バブル状態となっていました。

中国政府は今年に入って、
このバブル状態を解消するべく、
3度の預金準備率引き上げや、
銀行の住宅ローン貸出制限などを行いましたが、
効果は薄く、不動産価格は上昇を続け、
今年3月の全国70都市の新築住宅販売価格は、
前年同月比で14.2%上昇、
特に、投機資金が集中した海南島では、
海口市で64.8%、三亜市では57.5%という
大幅な値上がりとなりました。

こうした状況に対し、中国政府は今回、
北京、深セン、重慶の3都市で、
不動産税を試験的に導入することにしました。
今月から万博が開催されている上海では、
地域経済への影響を考慮し、
万博閉幕後に不動産税を試験導入するそうです。

この不動産税、詳細はまだ発表されていませんが、
どうも、これから不動産を買う人に課税する
購入税方式ではなく、
既に不動産を持っている人に対して、
その所有面積に応じた累進課税をする
資産税方式が採用されるようです。

ということは、
不動産を持っていれば持っているほど
課税額が幾何級数的に膨らみますので、
不動産を買う人が減るだけではなく、
投機的な目的で不動産をたくさん持っている
「地王(でぃーわん、土地成金)」が
保有不動産の投げ売りを始め、
今まで右肩上がりに上がり続けてきた
不動産価格が急落する可能性もあります。

実際、このニュースが発表された後、
上海では投機目的で購入したと見られる
住宅の売却が急増しているそうです。

不動産サイト・安家網の統計によれば、
このニュースが発表された日の前後4日間で、
売却登録された中古住宅は前週比4割増の
2万戸に上ったそうです。
一方、不動産仲介大手・中原地産によれば、
住宅の購入希望者は激減しており、
既に手付金を支払った住宅を
キャンセルする人も少なくないのだそうです。

今回の不動産税は、
いわば「地王狙い撃ち課税」です。
不動産価格は右肩上がりに上がるものと信じ、
何しろできる限りの借金をして早く不動産を買い、
自分も地王の仲間入りをすることを目指していた
一般庶民の頭も、
これで少しは冷えるのではないでしょうか。


←前回記事へ

2010年5月17日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ