第1185回
北京に「カプセルアパート」オープン

私は常々、日本人が北京に来て、
「日本にはあるが中国にはないモノやサービス」
という観点で街を見て歩けば、
1週間で100や200のビジネスアイデアを思いつくのは
造作もないことだ、と言ってきました。

これは、日本は既に考え得る
ありとあらゆるモノやサービスが出尽くした
成熟したマーケットであるのに対し、
中国は以前と比べればずいぶん便利になったとはいえ、
日本と比べればまだまだマーケットが未成熟だからです。

そんな考え方に基づいて、私は今、
梱包から荷解きまでが全てセットになった、
日本のいわゆる「引越らくらくパック」を
中国でも普及させるべく、
日々、VIP引越の普及活動に励んでいますが、
私と同じような発想を持った
チャレンジャーが北京に現れました。

そのチャレンジャーとは78歳の黄日新さん。
黄さんは日本の「カプセルホテル」に着想を得て、
北京市海淀区に「カプセルアパート」を
オープンさせました。

この「カプセルアパート」、
間口は70−90センチ、奥行きは2メートル。
ベッドとパソコン用のデスクが備え付けられ、
インターネットも使用可、
家賃は月250元(3,500円)と非常に安く抑えられています。

黄さん曰く「地方から来た低所得者や
大学卒業者のために造った」とのことで、
最近、中国で社会問題になっている
大卒ワーキングプア・「蟻族(いーずー)」の救済も
念頭に置いているようです。

しかし、部屋を見に来た若者たちからは「圧迫感がある」とか
「同じ家賃でもっと広い部屋が借りられる」と不人気で、
やってくるのは取材目的のメディアばかりなのだそうです。
確かに、終電を逃したときに、
タクシーで家に帰るより安上がりな緊急避難所として、
「カプセルホテル」に1泊するぐらいなら良いですが、
間口70−90センチ、奥行き2メートルの
「カプセルアパート」にずっと住むのはイヤかもしれません。

ただ、黄さんの
日本の「カプセルホテル」に着想を得た発想力や、
本当に「カプセルアパート」をオープンさせてしまう
行動力は立派です。
この点は見習わなければいけないな、と思いました。


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2010年5月14日(金)

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