第1196回
女性が働きに出るためには

先日、中国の就職サイト・智聯招聘網が、
働く女性に対する意識調査を行いました。
この調査によれば、働く女性の92.5%が
「仕事で成功したい」と回答し、
昇進の目標は30%弱が「経営者」、
40%が「中間管理職」と答えました。

一方の男性側も、70%が
「妻が自分より昇進しても気にしない」と回答し、
妻が働くことへの理解を示しています。
同サイトによれば、男女平等の考え方が浸透するとともに、
増大する経済的負担が妻の仕事への理解に
つながっているのではないか、と分析しています。

中国では以前から女性の社会進出が進んでいました。
私が14年前に中国に来たときに驚いたのは、
この国には専業主婦がほとんどいなかったことです。
そして、どこの中国企業に行っても、
女性の経営者や中間管理職がたくさんおり、
男性と対等に仕事をしていました。

このため、中国の女性に
「日本では大学を卒業した女性は、
数年間会社で働いて結婚すると、
仕事を辞めて専業主婦になる人が多い」という話をすると、
「それじゃあ、大学に行って
高度な知識を習得する意味がないじゃないですか」
と驚かれることが多いです。
彼女たちの目には大卒専業主婦は、
能力の無駄遣いをしている、というふうに映るようです。

中国で女性の社会進出が進んでいる理由は、
職場の協力、夫の協力などいろいろあるかと思うのですが、
最大の要因は親の協力にあるのではないかと思います。

日本で女性が働きに出ることを難しくしているのは、
働いている間、子どもを預けられるところがない、
ということだと思うのですが、
中国の場合、夫婦が働きに出ている間は、
既に定年退職したおじいちゃん、おばあちゃんが
家で子どもの世話をします。

日本でも昔はそうだったと思うのですが、
核家族化が進むことにより、
夫婦が働きに出ると子どもを世話する人がおらず、
一方のおじいちゃん、おばあちゃんは、
誰かから必要とされているという実感が持てず、
生きがいをなくしてしまう、
という社会になってしまいました。

今後、少子高齢化により高齢者が増える一方で、
労働力人口が減っていく日本。

この問題を解決するためには、
外国人労働者の受け入れよりもなによりも、
まずは、諸悪の根源である核家族化を食い止め、
中国のような大家族を復活させて、
日本全国に1000万人いると言われる
専業主婦に働きに出て頂く方が
手っ取り早いような気がします。

大家族を復活させれば、労働力人口は増える、
女性は社会に出て自分の能力を生かせる、
世帯収入は増える、おじいちゃん、おばあちゃんは
誰かから必要とされているという生きがいを得られる、
と一石四鳥のいいことづくめで、
社会も大いに活性化するのではないでしょうか。


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2010年6月9日(水)

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