第1220回
中国マネーは救世主か?征服者か?

中国マネーは日本買いに限らず、
世界の資産を買い始めています。

先日、中国の海運最大手・中国遠洋運輸集団(COSCO)は、
ギリシャのアテネ・ピレウス港の経営権を
総額42億ドル(3,700億円)で買い取りました。

リース期間は35年。
COSCOは港湾改造に7億ドル(620億円)以上を投じ、
同港のコンテナ貨物取扱能力を現在の3倍近くに引き上げ、
将来的にはオランダのロッテルダム港に匹敵する
ヨーロッパのハブ(拠点)港に育てたいとしています。

中国としては今回の買収は、
中国製品をヨーロッパ全土に供給する
物流ネットワーク構築の一環であると同時に、
黒海を経由してロシア、中央アジア西部に通じる
アクセス拠点の確保、という意味合いもあるようです。

国家財政破綻に直面し、財政健全化に向けて
緊縮財政政策を進めるギリシャ政府は、
経済成長を確保するため外国からの投資を渇望しており、
今回の中国企業による大型投資を
諸手を挙げて歓迎しています。

ギリシャでは更に、
ピレウス港に近いアッティカで
中国企業とギリシャ企業が共同で
2億ユーロ(230億円)を投資して
物流センターを建設する計画や、
中国企業がギリシャ国鉄に
出資する計画などもあるそうです。

また、中国石油大手の
中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は、
英メジャー(国際石油資本)・BPを
支援する意向を示しています。

BPは米国史上最悪と言われている
メキシコ湾の原油流出事故で巨額の補償を迫られており、
その支払いのために資産の売却を急いでいます。
ペトロチャイナはこれらの石油・天然ガス資産の
買収に関心がある模様です。

国家財政破綻のギリシャに原油流出事故のBP。
こうしたおカネがなくて困っている人たちを、
あり余る外貨を使って窮状から救う中国は
救世主のように見えます。

しかし、一方で、相手の窮状につけ込んで、
普段は売ってもらえないような資産を
どんどん自分のものにしていく姿は、
経済的な征服者のようにも見えます。

今後、人民元がどんどん強くなっていくに従って、
世界の資産に対する中国マネーの投資は
更に増えていくことは確実です。
「中国には投資してもらいたいが、
資産を買い占められるのは困る」。
世界は今後、こんなジレンマに
頭を悩ませることになるのでないでしょうか。


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2010年8月4日(水)

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