第1225回
「レンタル老人」で万博優先入館

5月に開幕した上海万博は、
事前に心配された大きな混乱もなく開催されているようですが、
人気パビリオンに入る長蛇の列を回避するためには
手段を選ばない、という一部の中国の人たちの行動には、
世界中が閉口しているようです。

各パビリオンには一般入場者の入り口とは別に、
身体障害者、乳幼児、高齢者などの
参観者のために優先入り口を設けていますが、
これを悪用する人が後を絶たないようです。

開幕直後に問題となったのは、
車いすに乗って身体障害者を装う健常者。
車いすで並ばずに優先入り口から入ると、
車いすから下りてスタスタと歩いて見学するのだそうです。
また、大きな子どもを無理矢理ベビーカーに押し込んで、
優先入り口から入ろうとする人もいたそうです。

こうした優先入り口の不正利用に対して、
万博事務局は利用基準を明確化するなどして
防止に努めていますが、
そこは「上に政策あれば、下に対策あり」の国、
最近流行っている新手の方法は
「レンタル老人」なのだそうです。

各パビリオンは、高齢者と付き添い1人に、
優先入り口からの入館を認めていますが、
これに目を付けた老人が、
万博会場の入場ゲート付近で来場者に
「ワシをレンタルせんか」と売り込む姿が
多く目撃されているようです。
老人におカネを払って1日レンタルすれば、
どこの国のパビリオンでも並ばずに
優先入り口から入ることができる、ということです。

中には、インターネット上で、
無料送迎と2食付で一緒に万博見学をしてくれる
75歳以上の高齢者を募集している人もいるようです。

こうした「レンタル老人」を使った不正入館に対して、
カナダ館は同伴する老人の名前を答えられない
来場者の優先入館を拒否しているようですが、
イタリア館は「レンタル老人」であるとわかっても、
揉め事を起こさないために入館を認めてしまっているようです。
いくら取り締まっても、
いろいろな方法で網の目をかいくぐってくるので、
もう面倒臭くなってしまったのでしょう。

こんなニュースが世界に流れると、
「やっぱり中国人のモラルは低いな!」
という認識が世界中に広がってしまうのですが、
当然のことながら、こんなことをするのは
ほんの一部の人たちです。
私の中国人の友人たちは、こうしたニュースを聞いて、
「国の恥だ」、「本当にやめてほしい」と
口々に言っています。

世界の人たちの注目が集まる万博でのこれらの行動は、
世界における中国人の評判を貶める重罪です。
中国政府にはこうした不正入館に対しては厳罰を以って対処し、
再発を防止するようにしてほしいものだと思います。


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2010年8月16日(月)

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