第1257回
大学生の人気就職先は外資から国有企業へ

先日、新華社傘下の雑誌「環球」が、
全国の有名大学89校で行った
2010年中国大学生就業傾向調査の結果によれば、
大学生の就職先として外資企業の人気が低下する一方、
国有企業の人気が上昇していることがわかりました。

2006年の外資ブームのときには、
人気就職先トップ10には
外資企業がずらりと並んでいたのですが、
今回の調査では、文系でトップ10入りした外資企業は
HSBC、シティ、P&Gのわずか3社、
理系でも中国移動など国有企業の躍進が
目立ったのだそうです。

この結果に対して専門家は、
世界的金融危機の影響で、
外資企業のイメージがダウンする中で、
国有企業は以前よりも報酬や福利厚生、
人材育成制度などが充実してきており、
相対的に国有企業に良いイメージを抱く大学生が
多くなっているためではないか、
と分析しています。

外資企業は成績が悪いとすぐにクビにされてしまうが、
優秀ならば給料は青天井で上がっていく。
一方の国有企業は、落としても割れない
「鉄飯碗(てぃえふぁんわん)」と呼ばれ、
一度就職してしまえば滅多なことではクビにはならないが、
給料は何十年働いても低いまま。
数年前まではこんなイメージでしたので、
自分の能力に自信がある優秀な大学生は、
当然のように外資企業を目指しました。

しかし、今回の調査結果を見ると、
国有企業もずいぶん変わってきており、
優秀な大学生が就職先として
目指す対象になりつつあるようです。
国有企業も上場したり、
国際的な仕事が増えたりする中で、
優秀な人材を確保することの
重要性を認識し始めたのでしょう。

私が今まで見てきた国有企業は
「やる気のない社員がいい加減な仕事をしても、
国の規制に守られているので潰れない」
というイメージでしたが、
今後は国有企業に対する見方を
変えなければいけないのかもしれません。


←前回記事へ

2010年10月29日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ