第1276回
歩合制の功罪

中国人社員をやる気にさせる最も効果的な方法。
それは歩合制の導入です。

固定給だったときには、
いかにサボるかばかり考えていた人も、
歩合制を導入したとたんに、
目の色を変えて仕事に励むようになった、
というのは中国ではよく聞く話です。

中国では多くの人はサラリーマンであっても
意識は「自分株式会社の社長」です。
このため、彼らには「会社のためにがんばる」という
愛社精神など微塵もありませんが、
一方でがんばれば自分株式会社が青天井で儲かる、
ということになれば、
持てる能力を全て使って全力でがんばるのです。

また、中国では自分の能力に自信のある人ほど、
固定給より歩合制を好みますので、
歩合制の導入は優秀な人材を集める、
という意味でも有効と思われます。

歩合制は、優秀な人材が自分の収入を
上げるためにがんばれば会社も儲かる、という、
社員と会社がwin-winの関係を築ける
非常に良い方法なのです。

しかし、歩合制にも問題がないわけではありません。

現在、中国で歩合制が広く採用されている業界は、
不動産販売、不動産仲介、旅行などです。
彼らは契約するまでは非常に親切、熱心に
いろいろと世話をしてくれるのですが、
契約をして歩合給を手にすると、
彼らは次のターゲットを探すことに全精力を傾けてしまい、
こちらからいろいろな問い合わせをしても
取り合ってもくれなくなってしまいます。

彼らも生活がかかっていますので、
どんどん新しい顧客を
開拓していかなければならないことは理解できるのですが、
私たち消費者はアフターサービスがなければ困ってしまいますし、
アフターサービスが悪い会社はリピーターが付きませんので、
会社にとっても決して良いことではありません。

こうした問題を解決するためには、
歩合制の基準を成約ベースから、
顧客満足度ベースに転換する必要がありそうです。

従来は成約すればすぐに歩合給をもらえていました。
しかし、例えば、成約の1ヶ月後に
顧客にアンケートをお願いして、
顧客満足度が100%ならば歩合給が100%支給されるが、
顧客満足度が50%であれば歩合給は半分しかもらえない、
というような制度にすれば、歩合制の利点を活かしながら、
アフターサービスも充実させることが
できるのではないでしょうか。


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2010年12月13日(月)

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