第1280回
温州商人、次の「お祭り」会場は...

価格高騰の裏に温州商人あり。
これは中国に住んでいる人ならば誰でも知っていることです。

彼らは最初は革製品や洋服などの製造販売、
という実業で富を築きましたが、
その後、その築いた富を使って投機を始めるようになりました。

彼らはまず、大量の資金を持っている
他の温州商人たちと申し合わせて、
狙いを定めた商品を一気に買い占め値段を吊り上げます。
値段が吊り上がると、それを察知した大量の一般庶民が
値上がりを期待してその商品を買い始めるため、
更に値段が上がっていきます。

私はこれを個人的に「お祭り」と呼んでいるのですが、
「お祭り」が盛り上がり、踊る人数がどんどん増え、
値段が青天井で果てしなく上がっていくのではないか、
と思ったような頃にだいたいバブルがはじけ、
踊っていた人は大損。
そして、ふと見ると大損をしているのは
後から踊りに来た一般庶民ばかりで、
主催者である温州商人はとっくの昔に高値で売り抜けている、
というのが今までのパターンでした。

温州商人が今まで「お祭り」の会場に選んだのは、
上海、北京、海南島の不動産、山西省の石炭、
食料ではニンニク、トウガラシ、
トウモロコシ、白菜などなど多岐にわたります。
温州商人にとっては、
買い占めることによって値段が上がるのであれば、
「お祭り」の会場はどこでも良いのです。

そんな温州商人が
次の「お祭り」会場として目を付けているのは、
銅、鉄、金、鉛、亜鉛などの鉱物資源であるようです。

最近、温州がある浙江省や隣りの江蘇省などでは
民間資本が不動産市場から撤退し、
内モンゴル自治区、甘粛省、雲南省、河南省などの
鉱物資源開発に参入するケースが目立っているそうです。
また、投資先も中国国内のみならず、
オーストラリア、ナイジェリア、ザンビア、モンゴルなど、
全世界に広がっているようです。

この背景には、温州商人が得意とする不動産が、
中国政府による不動産価格抑制政策により、
もはや、値段を青天井で吊り上げられる
おもしろい「お祭り」会場では
なくなってしまったこともありそうです。

鉱物資源は世界的にも値段が上昇していますので、
良い投資先のように見えます。
しかし、投資をする場合には、
今までのパターンのように「「お祭り」が終わってみたら、
温州商人は誰も残っていなかった」ということのないように、
彼らの動きを注意深く見守りながら
投資をする必要がありそうです。


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2010年12月22日(水)

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