第1279回
「お客様の声」

当社では先日、社内用に
「お客様の声」という小冊子を作りました。

これは当社の引越サービスをご利用頂いたお客様に、
サービスの良かった点、悪かった点を
書いて頂いたものをまとめたものです。

当社では毎回、頂いたお客様の声を、
日本語のものは中国語の翻訳文を付けて、
中国語のものはそのままで、
子会社の引越作業員も含めた
社員70名全員で回覧しています。
しかし、回覧しただけでは
1回見たら終わりになってしまいますので、
今回、いつでも携帯できるように小冊子にまとめた、
というわけです。

当社は引越業を始めて早8年。
サービスには世界一厳しいと言われる
日本人のお客様に鍛えて頂き、
絶え間ないサービスレベルの向上を図ってきました。
当社は北京の海外引越業界で取扱量では第3位ですが、
サービスの質や安心感では北京一であると自負しております。

しかし、始めた当初は大変でした。

例えば、玄関の概念。
日本の玄関は、土足の部分と家の中の部分が
段差によって明確に分かれており、
一度土足の部分に出た履物は、
洗ったり拭いたりしない限り、
再び家の中に入ることは許されません。

しかし、中国の家は入り口を入ると、玄関なしで
いきなりリビングになっているような間取りのものが多く、
靴をスリッパに履きかえる行為も、
入り口近くの曖昧な範囲内の同じところで行われます。

日本人の私から見れば、
靴とスリッパを同じところで履き替えたら、
スリッパの底が汚れて、そのまま中に入ったら
家の中が汚れてしまうじゃないか、と思うのですが、
中国人の引越作業員にとっては、
日本人がそんなわずかな汚れに
こだわること自体が理解できないらしく、
「どうせ掃除するんだからいいじゃないか」
となってしまうのです。

その後、当社では玄関の概念に限らず、
日本人の考え方を引越作業員に根気よく説明し、
どうしてもわかってもらえない作業員には会社を去ってもらい、
ようやく日本人のお客様にもご満足頂けるレベルまで
サービスの質を上げることができました。

そんな苦労の末にお客様から頂いた
「安心してお任せすることができました」とか、
「大変助かりました」といったお褒めの言葉は、
私にとっては宝物です。

もちろん、会社は利益を出すことも大切です。
しかし、マネーゲームでは得られない会社経営の醍醐味は、
こんなところにあるのではないか、と私は思います。


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2010年12月20日(月)

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