第1286回
中国のメディア規制と著作権侵害を助長する米国マネー

先月、優酷(よーくー、NYSE:YOKU)という中国の会社が
米国のニューヨーク証券取引所に上場しました。

優酷が運営する優酷網(よーくーわん)は
中国に住んでいる人なら知らない人はいない
インターネット動画共有サービスで、
「中国版YouTube」と呼ばれています。

本家YouTubeは米国資本ということで、
中国国内では閲覧規制がかかって見られないのですが、
優酷網は中国政府のメディア規制政策に100%従う
中国資本のサービスとして、急速に成長しています。

しかし、この優酷網、
著作権保護の観点から言うと野放し状態で、
中国のものはもちろん、
日本など外国のテレビドラマや映画も
ほとんどがタダで見られます。

中国ではテレビドラマや映画のDVDを
1枚10元(125円)で売る海賊版DVD屋のせいで、
コンテンツ業界は巨額の損失を被っていますが、
その海賊版DVD屋でさえ、
優酷網などタダのメディアの出現により、
窮地に立たされてしまっているのです。

中国政府が優酷網の著作権侵害を黙認するのは、
彼らが政府のメディア規制政策に
100%従う見返りなのではないか、と私は思っています。

優酷網は中国共産党を批判するような映像や、
民主化、チベット・ウイグルの独立、法輪功などに関する
映像がアップされたらすぐに削除する。
その見返りとして、中国政府は著作権を侵害した
コンテンツがアップされていても黙認し、
そうしたタダのコンテンツの魅力によって集まってきた
大量の網民(わんみん、ネット市民)に対する広告収入で
優酷網を儲けさせてあげる。
そんなwin-winの構図が成り立っていそうです。

この構図は音楽に関しても同様です。

既に2005年に米国のNASDAQ市場に上場している
インターネット検索サービス会社・
百度(ばいどぅ、NASDAQ:BIDU)は、
検索結果の表示について
中国政府のメディア規制政策に100%従っていますが、
中国政府はその見返りとして中国はもちろん、
日本など外国の音楽も
タダでダウンロードできるサービスの提供を
黙認しているように思います。
そのおかげもあってか百度は
中国国内で70%を超える
圧倒的な検索シェアを占めるに至っています。

これらのメディア規制や著作権侵害は、
常々米国政府が中国政府に対して
厳しく批判をしている点ですが、
優酷にしても、百度にしても、
よくもまぁぬけぬけと、
その米国の株式市場に上場するものです。
皮肉にも、米国の株式市場で集めたカネが、
米国が批判している中国のメディア規制や著作権侵害を
更に助長する結果になっているのです。

政治問題に敏感な米国では、
こうした中国政府の片棒を担いで
メディア規制や著作権侵害を行っている
中国企業の株の不買運動が起こっても
おかしくないように思うのですが、
優酷の株価が上場初日に161%の上昇を見せ、
百度株のPERが80倍以上まで買われていることを考えると、
米国の投資家は中国政府に守られた
「中国版YouTube」や「中国版Google」が業績を伸ばして
投資に対して大きなリターンが見込めるのであれば、
政治的な問題などどうでもよいのかもしれません。


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2011年1月3日(月)

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